既成事実を積み上げるより前にやるべきことがある

防衛省は国会提出した2024年度防衛予算案の中で次期戦闘機の開発に640億円、連携する無人機の研究に48億円、そしてGIGOへの拠出金として42億円を計上した。輸出の可否は決まらないまま、既成事実化がすすむ。

防衛省と英国防省との間では次期戦闘機の輸出について、欧州では英国が、またアジア各国に対しては日本が輸出することで内々に合意しているという。1機200億円以上ともいわれる次期戦闘機の輸出は低迷する国内産業の活性化にもつながるため政府・自民党とも簡単には譲れない。

公明党が折れて輸出可能となっても、上から目線の英国がいる。防衛省が考えるコンセプトが通るのか、開発や生産の割合がどうなるのか、いずれもタフな議論の末に見えてくる。

ただ、これだけは言える。武器輸出大国でもある英国やイタリアと共同開発すれば、両国からの圧力によって武器輸出の解禁を迫られることは最初からわかっていた話である。それでも議論を進めて後戻りできないところまで来たのは、この機会に武器輸出の全面的な解禁を狙っていたとしか考えようがない。

© Eurofighter Jagdflugzeug GmbH
ユーロファイター・タイフーン

山口氏は13日、岸田文雄首相との定期会談後、記者団に「国民に分かりやすく説明し、理解を求めることが重要。今はそこに至っていない」と述べた。その指摘は正しい。

既成事実を積み上げるより前に、国民への説明責任を果たさなくてはならない。

関連記事
「ウクライナ戦争は24時間以内に終了」と断言…"帰ってきたトランプ大統領"が掲げる「復讐と報復の政策集」
富士通に責任をなすりつけようとしている…「英国史上最大の冤罪」が「とんだとばっちり」と言える理由
旧日本海軍の真珠湾攻撃は「成功」だったのか…連合艦隊司令長官・山本五十六が狙った「幻のハワイ作戦」とは
「1本の鉄橋」がヒトラーの寿命を縮めた…ナチス・ドイツが西部戦線で犯した「致命的なミス」
元海自特殊部隊員が語る「中国が尖閣諸島に手を出せない理由」【2020年BEST5】