自衛隊の「次期戦闘機」に暗雲
英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の輸出解禁をめぐり、公明党が慎重な姿勢に転じ、自民党との協議が続いている。
防衛省は2月中に決着しなければ英伊に後れを取り、日本が不利になると主張するが、昨年暮れには共同開発を担う新たな国際機関(GIGO)の本部を英国に置くことが決まり、早くも英国の先行を許した。輸出解禁を急ぐのも交渉上手な英国に乗せられたともいえる。
次期戦闘機は航空自衛隊のF2戦闘機の後継にあたる。
防衛省は当初、米国との共同開発を計画していたが、米政府との交渉が不調に終わり、断念した。米側の開発企業「ロッキード・マーチン」が最新技術の供与に反対し、米国防総省も秘密保持の観点からロ社の意向を尊重した。
これまで日本独自の戦闘機開発を妨害し、最低でも米国と共同開発するよう迫ってきた米国の様変わりに身構えてきた防衛省や開発企業「三菱重工業」の担当者らは拍子抜けした。
防衛省が目指している「令和のゼロ戦」の開発
最先端技術の固まりとされる戦闘機は1カ国での開発は技術、費用の両面で困難になりつつある。
次なるパートナー国を探していた防衛省は2022年1月から、英政府との間でエンジンの実証事業を開始。同年12月、日英伊3カ国首脳は共同声明を発出し、2035年ま
英国の主契約企業は欧州各国が採用する戦闘機「ユーロファイター」を開発した「BAEシステムズ」だ。これにエンジン担当の「ロールス・ロイス」とミサイル担当の「MBDA」が加わり、イタリアは航空・防衛大手の「レオナルド」が参加する。
これらの企業はユーロファイターが退役を始める2036年をメドに次期戦闘機「テンペスト」の開発に取り組んでおり、航空自衛隊のF2戦闘機の退役に合わせて次期戦闘機の研究を始めた日本側と行程が一致した。