自衛隊が、先行する海上保安庁に続きアメリカ製の大型無人機「シーガーディアン」の導入を進めている。防衛ジャーナリストの半田滋さんは「国産哨戒機の6分の1以下という低価格で、性能も高いので、どんどん増えそうだ。一方で、搭乗する必要はないので、パイロットの仕事は減る。自衛隊員の働き方を根本から変えるインパクトがある」という――。
アメリカ製の最新無人機が日本にやってきた
海上保安庁は昨年10月から海上自衛隊八戸基地(青森県)で無人航空機「MQ9Bシーガーディアン」の運用を開始した。2023年度にはさらに2機を導入し、計3機が交代で「24時間365日」の海洋監視体制に入る。
一方、米軍は昨年11月から海上自衛隊鹿屋基地(鹿児島県)でシーガーディアンの先行機種「MQ9Aリーパー」を8機運用して東シナ海の警戒監視を開始した。
ともに米ジェネラル・アトミクス(GA)社が開発した無人機だが、同社関係者は「リーパーが偏差値40の無名私立大学レベルだとすれば、シーガーディアンは偏差値70の東京大学レベル。センサー性能に雲泥の差がある」と話す。
しかもシーガーディアンの本格運用は、開発した米国を差し置いて日本が世界初だ。
加えて海上自衛隊も23年度から八戸基地でシーガーディアンの試験運用を開始する。四方を海に囲まれた日本にとって重要な海洋監視は無人機による長時間運用、加えて低コストという新時代を迎えた。
性能は「偏差値70」と呼ばれる優れもの
機体下部には、昼夜や荒天時を問わず映像を撮影できるレーダー、カメラなど複数のセンサー類が搭載されている。これらの性能が例えて偏差値70といわれる優れものだ。撮影された映像は通信衛星を通じてリアルタイムで地上に送られる。