何より低価格に魅力がある。海上保安庁はGA社から機体をリースしており、価格は1機40億円。川崎重工業で製造するP1哨戒機が1機258億円(2022年度防衛費)と比べて6分の1以下という安さだ。
反発も出てくるだろう。哨戒機の乗員を希望する隊員にとって「地上勤務のパイロット」は魅力的に映るだろうか。また国内の防衛産業から「仕事を奪われた」という不満が出ることは容易に想像できる。
だが、中国軍が東シナ海から太平洋に4種類もの無人機を飛ばす時代である。シーガーディアン導入の流れはとまらないだろう。前出の海上自衛隊関係者はこういう。
「長時間の監視飛行が可能という利点に加えて、勤務環境を抜本的に変え、価格破壊も起きる。海上自衛隊にとってシーガーディアンは『令和の黒船』になるかもしれない」
無人機が自衛隊のあり方を大きく変える可能性
岸田文雄政権は昨年12月、安全保障関連3文書を閣議決定し、安全保障政策を大転換した。その中で「無人アセット防衛能力の強化」が初めて打ち出され、「有人機の任務代替を通じた無人化・省人化により、自衛隊の装備体系、組織の最適化の取組を推進する」(国家防衛戦略)と明記した。
航空機であれ、艦艇や装甲車であれ、無人機の導入は自衛隊のあり方を抜本的に変えるゲームチェンジャーとなり得るだろう。最終的な判断はAI(人工知能)ではなく、「ひと」が行うことを厳守することにより、効率的で抑制が効いた装備体系を構築することが求められている。