7月を除く全ての月で既存店客数が減少
もちろん、売上高も重要ですが、客数が昨年と同じでも客単価(買い上げ客単価)が下がれば売上高は減ります。ですから、売上高の増減だけでは一概に判断することはできません。
これを念頭においてワークマンの今年4月以降の月次前年対比を見てみましょう。
4月から10月において、既存店客数は7月に昨年同月対比で1.4%増となった以外は、全ての月で前年割れが起きており、特に5月と9月は6%以上の客数減少となっています。一方で、既存店客単価は10月を除く全ての月で前年を上回っており、特に7月は6.7%増、8月は6.2%増と他の月にも増して大幅な伸びを見せています。
9月まで一貫して客単価が伸びた理由としては、昨年に「価格据え置き宣言」を発表したものの、値上げした品番もあるので、それらの買われ方によって微増したと推測されます。
また7月、8月の客単価の高い伸び率は、おそらく猛暑対策用品として広まり始めた電動ファン付きベスト(ブルゾンも含む)や今夏初投入された水冷式ベストなどの高価格な商品によるものと考えられます。電動ファン付きベストは9800~2万円弱、水冷式ベストは1万6800円ですから、1000円前後の衣料品が多いワークマンの中にあっては高単価商品だといえ、これらが好調に売れれば必然的に客単価は上がります。
また1万円台後半~3万円くらいするテントなどのキャンプ用品もありますから、夏休みシーズンということでそれらが売れれば客単価は上がるでしょう。夏はワークマンにとっては高額商品が動きやすい時期だといえます。
今年の猛暑で機能性商品が売れないのは深刻
一方で直近の10月の客数は全店、既存店ともに前年割れとなっており、かなり厳しい数字が出ています。10月は全店売上高が前年同月比7.8%減、客数が同7.1%減、客単価が同0.8%減。新店舗を除いた既存店の売上高は同12.2%減、客数が同11.5%減、客単価が同0.8%減となっており、売上高と客数が大幅に落ち込んでいます。かなり厳しい商況だったといえるでしょう。
ただ、9月、10月の苦戦は季節外れの高気温によるところが大きいことがハッキリしています。ワークマンは吸水速乾や保温発熱などの気温に応じた機能性商品を売りにしているので、秋の高気温は死活問題だといえます。一方、猛暑にもかかわらず7月以外の6月、8月の苦戦、それから4月、5月の春の苦戦は深刻だと言わねばならないでしょう。