神戸の異国情緒はインバウンドには不人気
確かに、大阪までの通勤を考えた場合、神戸郊外のニュータウンや、六甲アイランドやポートアイランドなどの人工島からでは、乗り換えもあり遠く不便だ。三宮など中心部でのタワマン建設規制もあり、神戸の一人負け状態が続いているのだ。
なお、前出の会見で久元神戸市長は「高層タワーマンションは正直持続可能ではないというふうに思います。数十年するとこれは廃墟化する可能性があって、我が国の大都市においては極めて深刻な問題が生じます。やはり神戸市としては目先の人口増を追うのではなくて、持続可能な大都市経営を目指すということから考えたときに、高層タワーマンションの建設抑制ということは続けたい」と発言している。
インバウンドの復活により、関西では京都の歴史的な神社仏閣や大阪での買い物などを目当てにした観光客で連日大賑わいだ。
一方で、神戸といえば、港町に異国情緒のイメージながら、世界遺産もなく、外資系ラグジュアリーホテルもないこともあり、実はインバウンドには不人気だ。神戸の異国情緒は、日本人にとっては魅力的かもしれないが、中国人が南京中華街を見ることもなく、欧米人が異人館を見てもあまり感動しない。神戸としてはむしろ、有馬温泉や六甲山などの温泉やトレッキングなどの方が、インバウンド対策としてポテンシャルがあるのかもしれない。
大規模再開発は進むが、完成はまだ先
勿論、神戸市も手をこまねいている訳ではない。2021年4月、阪急神戸三宮駅と一体となった「神戸三宮阪急ビル」が開業したのに続き、三宮周辺では大規模再開発が続く予定だ。
神戸市役所2号館の建て替えでは、総工費300億円以上で2028年度頃の完成を目指し地上24階、高さ約125メートルの高層ビルに、外資系ラグジュアリーホテルが入居する見通しと報じられている。
また、神戸三宮駅前の「雲井通5丁目」の再開発では、2027年竣工予定の地上32階、高さ約163メートルの駅直結の複合ビルと西日本最大級のバスターミナル施設もできる予定だ。ビルの最上階には、大手ブライダル企業のテイクアンドギヴ・ニーズが神戸初のラグジュアリーブティックホテル「EVOL HOTEL KOBE」を開業するという。六甲山やポートアイランドなど神戸の景色を一望でき、インフィニティプール、テラス付きレストランやバー、ジムやスパなどができるという。