現実を認めないために自分の気持ちを加工してしまう
(3)防衛機制
防衛機制は心理学ではよく用いられる言葉です。簡単に言えば、「現実をそのまま認めると葛藤が生じるため、自分の気持ちに加工してしまう」のが防衛機制です。防衛機制には様々なものがあり、いくつかの防衛機制は現状を正当に評価する妨げになります。
たとえば、有名なのはイソップ童話の「すっぱい葡萄」でしょう。自分には取れない葡萄のことをキツネは「あれは酸っぱい葡萄だから食べられなくていいのだ」と思ってしまう。ここでは、自分を正当化して気持ちを落ち着かせようとする防衛機制の「合理化」が働いています。
これらを踏まえると、「逃げる」判断は遅くなる可能性の方が高いと考えても良いでしょう。(1)も(2)も(3)も、無意識のうちに働いてしまうので、完全に影響を受けないようにすることは難しいかもしれません。「こういったものがある」と知っておくだけでも充分です。
逃げたい気持ちが出てきたら最終ラインを決めておく
私は、「逃げる」ことを意識した時点で、いつ逃げてもよいと思っています。本当に問題がないのなら、「逃げる」などと全く考えもしないはずだからです。
心のどこかに「逃げるとしたら」「逃げた方がいいのかな」などと「逃げる」という単語が湧き出てきた時点で、逃げてもいいのです。
しかし、すぐに逃げる判断もできないかもしれません。そこでこうしてみてください。
「『逃げる』という言葉が頭に出てきたら、出口を決める」
つまり逃げたい気持ちが少しでも出てきたら、「○○になったら逃げる」というラインを設定しておくのです。
たとえば、「次のタイミングで昇進できなかったら、転職する」「次同じようなトラブルが起きたら、即仕事を辞める」「次の資格試験で合格できなかったら、あきらめる」などといった具合にです。
出口を決めておくことで、逃げるタイミングを見失わずに済みます。また、最後のチャンスを設けることもできます。