宙組メンバーがヒアリングを拒否した理由
調査チームは、宙組のメンバー66名中、4人のヒアリングをしておらず、4人の劇団員が調査を拒否した理由も、拒否した人物が上級生なのか、下級生なのかも公表していません。ヒアリングした内容の発言者が特定されないようなセーフティーネットがなければ、本音は言わないでしょう。
ものが言えない組織形態であれば、権力者は、怖いものなしで、好き勝手なことができます。咎めるものがおらず、隠蔽できるので、遠慮なく“悪事”に加担できます。上級生やプロデューサー、演出家は巨大な権力を手に入れることになります。力がある者こそ「権力は腐敗する」という格言を思い出してほしいものです。
独立した第三者委員会に調査報告書の作成を任せて、その上で宝塚歌劇団も阪急阪神HDも、歌劇団を改革するといいのではないでしょうか。
旧弊を重んじる宝塚歌劇団にメスが必要
この“事件”をめぐっては、新たな動きがありました。歌劇団に法令違反がなかったのかどうかを調べるため、11月22日に労働基準監督署が調査に入ったのです。劇団員が安心して働くためにも、劇団員の親御さんが安心して子どもを預けられるようになるためにも、実態が明らかになることを期待しています。
今から15年前の2008年、宝塚音楽学校に入学したZさんは、いじめを受け、仲間外れにされ、ついには退学となりました。Z側は翌2009年、退学処分は無効だと裁判に訴えました。これが世に言う「タカラヅカいじめ裁判」です。
裁判所は、退学取り消し処分を下しましたが、学校側は無視し続けました。結局、2010年7月、和解調停という形で決着します。「退学処分の撤回」をするが、「Zは、宝塚歌劇団への入団に必要な手続きの履行を求めない」という条件が付けられました。
変革の旗振りや推進は、阪急阪神ホールディングスが行わないと、宝塚歌劇団のように伝統を重んじる、古い体質の組織は変えられないと思います。