宝塚歌劇団と遺族が和解で合意
宝塚歌劇団の宙組に所属していた劇団員Aさん(享年25)が昨年9月30日に死去した問題で、大きな進展があった。
3月28日午後4時、宝塚歌劇団、歌劇団を運営する阪急電鉄、阪急阪神ホールディングスの経営トップが緊急記者会見を開き、ほぼ同じ時刻に遺族側の弁護士も会見を行った。
宝塚歌劇団、阪急側が長期間、隠蔽してきたパワハラ、いじめについて、ついにを認めて謝罪し、遺族側と合意した事実をそれぞれが発表した(阪急阪神ホールディングスの嶋田泰夫代表取締役社長は、阪急電鉄の代表取締役社長を兼務)。
2つの記者会見と質疑応答の模様をテレビ局がユーチューブで配信しており、双方の会見のすべてを見たが、宝塚歌劇団、阪急側の経営トップの会見は問題の深刻さを認識しておらず、合意ができて公演を再開できる喜びが漏れ出るような、お粗末な内容だった。
会見場にいなかった「重要人物」
阪急阪神ホールディングスの代表取締役会長グループCEOの角和夫氏は、宝塚音楽学校の理事長(昨年12月1日付で退任)、宝塚歌劇団と宝塚音楽学校の理事をしており(今年2月29日付で退任)、宝塚歌劇団との関係が最も深く、責任が重いにもかかわらず、会見に出席していない。
角会長の実兄で、弁護士の角源三氏は「和夫はまずパワハラを認め、ご遺族に謝罪して辞任すべきなのに、いずれも実行していない。人間性というのは極端な状況でこそあらわになりますが、彼は逃げるタイプの人間。高校時代も勉強から逃げてエレキにはまっていたし、ちっとも変わっていません」(『週刊新潮』(2023年12月21日号)と指摘していたが、まさに角和夫氏は記者会見の場から逃げてしまった。
Aさんの死亡の原因を、遺族側は長時間労働、いじめ、パワハラだと訴えてきたが、宝塚歌劇団、阪急側はいじめ、パワハラを全面否定した。宝塚歌劇団の問題、劇団員の死の真相解明を、歌劇団、阪急側は大江橋法律事務所に依頼し、9人の弁護士が調査やヒアリングをして昨年11月、調査報告書が作成された。
報告書でパワハラの事実は認められないと結論付け、宝塚歌劇団、阪急側はこの報告書を根拠に、パワハラはなかったと主張し、合意に至る3月下旬まで対立を続けてきた。
Aさんは、ヘアアイロンを押し付けられて1カ月後にも痕が残るほどの火傷をさせられ、暴言を浴びせられ、劇団員の前で上級生からのいじめがなかったように振る舞うことを強要され、追いつめられて、自死を選んだと思われる。