「ヘアアイロン問題」には強気の対応
大江橋法律事務所が作成した今回の調査報告書(概要版)は本文22ページ、別紙14ページに上りますが、自らも認めているように不完全なものです。現段階で事実が解明されたとは言えず、処分は時期尚早ではないでしょうか。
いじめのケースの一例として、遺族側は、先輩劇団員が故人の額にヘアアイロンで火傷を負わせたと主張していますが、新理事長になる村上氏は「ヘアアイロン問題」について次のように語っています。
「ヘアアイロンの件につきましては、そのように(遺族側、遺族側弁護士が)おっしゃっているのであれば、証拠となるものをお見せいただけるようにお願いしたい」と発言。内部から情報が漏れることはないと確信しているのか、強気の対応でした。
今回の報告書が出る前に、宝塚歌劇団の渡辺裕企画室長は「歌劇団としましては、いじめという事案があるとは考えていません。加害者も被害者もおりません」と発言し、一部の報道に対して「非常に歪曲した表現で書かれてます」と苦言を呈しました。
歌劇団幹部は劇団の内部事情を知らない
調査報告書を受け取った後も、宝塚歌劇団はいじめやパワハラはなかったと主張し続けています。
歌劇団の要職に就いているのは阪急阪神HDや阪急電鉄などの出身者で、演劇の専門家ではありません。現場の管理はプロデューサーや演出家、5つの組(花、月、雪、星、宙)のトップスターや組長、上級生に任せ、劇団の活動の実態を知らないと、歌劇団幹部は記者会見で答えています。
今回の報告書の作成に当たって、徹底した調査だったのか、外部に情報を漏らさないように劇団員やスタッフに箝口令を敷いていなかったか、隠蔽はなかったかといった事柄が、今後明らかになると思います。
報告書には「劇団外の出来事については情報収集がほぼできておらず、また、上記(劇団の情報と資料に頼っているという事実)により与えられた情報だけでは、事実確認ができなかった事項も存在する」という表現もあります。