主張が対立する遺族は再調査を望んでいる

宝塚歌劇団の木場健之こばけんし理事長は記者会見で「いじめやハラスメントは確認できなかった」「歌劇団としては、特に宙組に問題があったというふうには考えておりません」と強調しています。

歌劇団側と遺族の主張が対立していて、同じ日に遺族側の弁護士が記者会見を開く事態になりました。事実関係が明確にされていないので、第三者委員会を立ち上げて改めて調査すべきという声があり、遺族側も再調査を望んでいます。

宝塚歌劇団と阪急阪神HD側は、故人が亡くなるまで労働時間が長かったことは認めていますが(歌劇団側は、雇用関係ではなく、舞台女優とエンターテインメント提供会社との対等の関係と考えており、労働時間とは言わず活動時間という表現を使っています)、故人の死亡と、いじめは関係ないという立場です。

問題があったとされる劇団の実態、現場での責任の所在が解明されていないのに、阪急阪神ホールディングスの上層部の減給処分が発表されました。

阪急阪神HDトップの処分への違和感

宝塚歌劇団の理事で、持株会社の阪急阪神HD代表取締役会長兼グループCEOの角和夫氏の月額報酬の25%、3カ月間のカット、阪急阪神HD代表取締役社長で阪急電鉄社長の嶋田泰夫氏の20%、3カ月カットなどの処分を明らかにしました。

木場理事長は12月1日付で退任しますが、元々阪急電鉄の出身者で、阪急阪神グループの要職に就くと思われます。後任となるのは、これまで宝塚歌劇団専務理事だった村上浩爾こうじ氏です。

阪急阪神HD上層部の減給を発表しましたが、処分の対象者がこれでいいのか、処分の時期が適切なのか、やはり違和感を覚えます。形だけの、おざなりな処分でしかないようで、納得できません。

現場のプロデューサー、演出家、トップスターや上級生が行っている宝塚歌劇団の運営には、何ら問題がないと、歌劇団側は強調しています。それでは、阪急阪神ホールディングスの会長や社長の減給はどういう意味を持つのでしょうか。考えられるのは労働時間が長かった管理責任に対する処分なのでしょう。

もし宝塚歌劇団でいじめやパワハラが認定された場合、問題の隠蔽いんぺいがあった場合、阪急阪神ホールディングスの角会長や嶋田社長は、どのような責任を取るのでしょうか。