アドバイスをしても、いじめることはできる

調査報告書は「火傷が故意かどうか」「押し付けたのか、誤って触れて火傷をさせたのか」にこだわって作成されていますが、日常的に火傷が起きているのなら、宙組に限らず、火傷した劇団員全員に原因を聞くといいのではないでしょうか。

額などに火傷を負った全劇団員にヒアリングすれば、火傷が故意(いじめ)なのか、うっかり触れただけなのかが分かります。さらに火傷をしないような再発防止策も示していただけるなら、劇団員も、ファンも安心して歌やお芝居をエンジョイできると思います。

報告書の2ページの最後から2行目に「新人公演の本番直前に故人へのアドバイスをしていることを考慮すると、A(ヘアアイロンによって火傷を負わせた看板女優)が故人をいじめていたとは認定できない」とありますが、アドバイスをしても、いじめることはできるので、この論法は成り立たないのではないでしょうか。

4ページの下から14行目「故人はAが故意にヘアアイロンを当てたと宙組プロデューサーに伝え、ご遺族自身も宙組プロデューサーからAは故意だったと思うかと聞かれて、本人(A)に聞いてくださいと答えたと述べており、宙組プロデューサーの報告メモとご遺供述との間に食い違いが見られる」と記載されているのに、歌劇団側が「いじめはなかった」と断言できるのは、何を根拠に判断したのでしょうか。

「リーク禁止」は組織の腐敗を生みやすい

7ページ上から2行目、歌劇団診療所の診療録に「故人が、週刊誌(週刊文春の今年2月の記事)報道のあと、記事の事よりも対象の相手と一緒にいることで、いろいろな問題があり、とてもしんどかった」と記載されており、この記述に注目して調査を進めれば、いろいろな問題、真相が読み取れるのではないでしょうか。

宝塚歌劇団では「外部漏らし」は絶対にしてはいけないという不文律があるようです。外部に情報を漏さないよう統制を図り、情報が漏れたら犯人捜しをする隠蔽体質は、内部の腐敗を生みやすい。

週刊誌に情報をリークしたと最も疑われるのは、ヘアアイロンによって火傷を負った劇団員です。「外部漏らし」をしたと疑われた人が、過去にどのような目に遭ったのか、調査をすれば、故人と、Aや上級生との間で、どのような「やり取り」「仕打ち」が起きうるのか、想像が付くのでは、と思います。