狩猟採集民の栄養摂取量は先進国の20倍

1930年代、アメリカの歯科医だったウェストン・プライス博士は、「なぜ現代人はこんなに不健康なのだろう?」という疑問を抱き、世界各地の伝統食を調べる旅に出発。その成果を『食生活と身体の退化』という本に残しました(※1)

本書のデータから、狩猟採集民たちが日常的に摂取している栄養素の量をまとめたのが図表1です。なんと、先進国に比べてビタミンが10倍、ミネラルは20倍!

もちろん、これは1930年代の西洋の食事との比較なので、現代ではもうちょっと差が縮まっているかもしれませんが、それでも狩猟採集民が大量の栄養素を摂っているのは間違いなさそうです。

この差を埋めていくには、加工食品を減らすだけでは不十分。積極的に体にいい食品をチョイスしていくしかありません。

※1 ウェストン・A・プライス『食生活と身体の退化─先住民の伝統食と近代食その身体への驚くべき影響

パレオダイエットの食材選び

ひとくちに「体にいい食品」と言っても、範囲が広くてワケがわからないでしょう。そこで役に立つのが、やはりパレオダイエットの考え方です。

前稿でも述べたように、パレオダイエットは原始人や狩猟採集民のライフスタイルに学ぶ健康法。その根底には、「人類が長年にわたって食べてきたものほど体にいいはずだ」という考え方があります。

ご存じのように、すべての生き物は、その時々の環境にうまく適応しながら進化してきました。となれば、古代から長く食べ続けられてきた食品ほど、私たちの体にとって自然であるのは間違いありません。

つまり本当に体にいい食品を選ぶコツとは、

・「これって原始人も食べていたか?」と想像してみる

これだけです。原始人がファストフードや砂糖、缶詰などを食べている姿はイメージできませんよね? もしうまく想像できないならば、それはパレオダイエットではNG食品です。

ただし、この基準だと、白米や牛乳までNGになってしまうため、やや厳しすぎると感じる方もいるかもしれません。その場合は、

・いま100才のお婆ちゃんが、10代のころに食べていたか?

と考えてみてください。もし100才のお婆ちゃんが若いころに食べていた様子が想像できないなら、それはパレオダイエットではNG食品。この基準に従うと、たとえば全乳で作った牛乳はOKだけど、低脂肪に加工された牛乳はNGになります。

もちろん、現代の食品がすべて体に悪いわけではありませんが、基本的には古代に存在したものほど「体に良い食品」だと判断するのがわかりやすいでしょう。

個人差はありますが、パレオダイエットの食事法を続ければ、たいていは1カ月でハッキリと肉体と心に変化が出てきます。「なんだかダルい」や「なぜか元気がわかない」といった不調が、あきらかに消えていくのです。私の場合でも、パレオ式の食事を始めてから1カ月ぐらいでメキメキと気分が良くなり、3カ月で仕事の生産性や集中力にも変化が出ました。ぜひ、まずは1カ月だけ続けてみてください。