話題の中心になり続けるドラマ

時に『VIVANT』のような多額の制作費を投じた大作があれば、逆に低予算ながら日本のドラマらしい心の機微を描く繊細な物語もある。日本のドラマは、そんな大小、硬軟織り交ぜたラインナップで、嗜好の細分化が進む現代人のニーズに応えていくのではないか。

少なくともそれがうまくいけば、海外作品とのアンフェアな比較による批判は解消されるだろう。「放送時間や回数などの自由度が低い」「演出家の技術にバラつきがある」など、他の問題点もあるが、これらは徐々に改善していけばよいものに見える。

そもそも季節ごとに40~50作が放送される地上波のドラマは、2010年代の迷走期ですらネット上でトップクラスの記事数やコメント数をキープしていた。常にTVerのランキング上位をドラマが独占していることなども含め、話題の中心となり続けてきたことが分かるだろう。

一方、欧米や韓国の作品が話題の中心となったのは、2000年代前半の『冬のソナタ』くらいで、しかもNHKやTBS系などで放送されたからであり、やはり国内外のドラマを比べることの強引さを感じさせられる。

だからこそ制作環境が適正化に向かいつつある今、避けたいのは、欧米や韓国の作品を意識しすぎて、日本ドラマの魅力を損なうこと。日本のドラマを過小評価するネット上の声に惑わされず、自信を持って作り続けていけば、そう遠くないうちに世界なヒット作が生まれそうなムードが漂いはじめている。

関連記事
ついに「半沢直樹」の呪縛が解けた…視聴者を翻弄し続ける「VIVANT」堺雅人の怪演をあなたは観たか
3位は「おちょやん」、2位は「カーネーション」、1位は…平成令和の「NHK朝ドラ」ランキングベスト5
「今から行くから待ってろコラ!」電話のあと本当に来社したモンスタークレーマーを撃退した意外なひと言
「10個のリンゴを3人で公平に分けるには?」有名な思考クイズをひろゆきが解いたら…答えが斬新すぎた
NHK大河ではとても放送できない…宣教師に「獣より劣ったもの」と書かれた豊臣秀吉のおぞましき性欲