キャラクターは薄く、パワーも感じづらいのに
毎年恒例の「テレビ番組出演本数ランキング」(ニホンモニター調べ)で今年のトップに輝いた麒麟・川島明。自身のラジオで「出すぎた男。1日平均1.7本」と語っていたように年間586本もの番組に出演する売れっ子ぶりを見せた。
ただ、川島明はかつて『M-1グランプリ』(ABC・テレビ朝日系)のファイナル常連だった一方で、これといった受賞歴はなし。2年前に『ラヴィット!』(TBS系)のMCに就任するまでは中堅芸人の1人に過ぎなかった。
現在ではすっかりMCというイメージがついたが、それでもタモリ、ビートたけし、明石家さんまのお笑いBIG3、ダウンタウン、とんねるず、爆笑問題、ナインティナイン。あるいは同年代の千鳥など、各世代のMCと比べるとキャラクターは薄く、パワーも感じづらいところがある。
数多いる芸人やMCの中で、なぜ川島は出演本数1位までのぼり詰めたのか。モンスター級の強者がそろう芸能界で川島が躍進した理由を掘り下げていくと、ビジネスパーソンにも役立ちそうなポイントが見えてくる。
評価を高めた大喜利と裏回し
振り返ると、麒麟の相方・田村裕が『ホームレス中学生』でブレイクした2007年ごろ、川島は完全に「じゃないほう芸人」の扱いになり、番組収録時に「自分だけマイクをつけてもらえなかった」などの格差エピソードを何度も明かしてきた。
しかし継続は力なり。腐らず地道に出演を重ねることで2010年代中盤に入ると、そのトーク力が評価されてくる。
『アメトーーク!』(テレビ朝日系)、『ダウンタウンDX』(読売テレビ・日本テレビ系)、『くりぃむクイズ ミラクル9』(テレビ朝日系)、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)などの先輩芸人がMCを務める番組で結果を出し続け、さらに生放送の情報番組『グッディ!』(フジテレビ系)ではコメンテーターもそつなくこなした。
そして、2016年秋の『IPPONグランプリ』(フジテレビ系)で優勝すると、視聴者の間でも「川島は面白い。頭がいい」というイメージがジワジワと定着。
特にMCに代わって話を展開させたり、フォローを入れたりなどの“裏回し”と呼ばれるトーク力は業界内で称えられ、2019年からは番組進行の仕事が増えていく。