店舗を「個室サロン」にした理由
では、そうした仕組みは、いったいどのように設計すればいいのでしょうか?
最近、僕が作る店舗は基本的に全て「個室サロン」にしています。
FCの場合、途中加盟の店舗もあるので、個室にならない場合もありますが、今後、僕はできる限り個室の店舗を増やしていこうと考えています。
新型コロナウイルスの影響で、お客様は「非接触」を求める傾向がありますから、今後、個室のサロンはますますクローズアップされることでしょう。
例えば、経営者の中には、次のようにおっしゃる方がいらっしゃいます。
「個室サロンを作りたいから、ぜひ北原さんのお店を参考にさせていただきたい。個室って、お客様目線で最高ですよね」
たしかにおっしゃるとおりで、お客様目線で見ると、個室サロンは非常に魅力的と言えるでしょう。
しかし、僕の本当の狙いは、実は違うところにあります。
ですから「お客様目線で最高ですね」と言われると、生意気かもしれませんが、「大事なことを見落としているな」と感じてしまいます。
なぜ、個室にこだわるのでしょうか?
個々で仕事を完結させる仕組みを
僕が個室サロンにこだわるのは、従業員が「個々で仕事を完結させる仕組み」を作りたいからです。
個室にして、施術のスペースを区切ってしまうことで、「従業員同士がコミュニケーションを取らなくても機能する仕組み」を作り上げています。
先の記事で「人間関係が大事だからこそ、あえて距離を詰めないという考え方が大事である」という主旨の話をしましたが、個室にすることで、従業員同士の「適切な距離」を保つことができるのです。
このスタイルであれば、管理者は基本的に不要です。
また個室サロンにすることによって、従業員のストレスレベルを極限まで削減することもできます。
なぜ個室にすると、従業員のストレスを減らすことができるのでしょうか?
例えば、個室の場合、自分が使ったところだけを掃除して、片づけが終われば帰宅できます。
他人が汚した場所を片づけたり、仕事を終えるのを待っていたりする必要がありませんから、余計なストレスがなくなります。
何より、美容師は技術職です。
隣の人の仕事が目に入ると、「どうしてそんなカットにするの?」といった形で、どうしてもイラッとしてしまうことがあります。