強い組織はどのような形態を取っているのか。美容室Dearsグループ代表の北原孝彦さんは「僕は店長の育成と会社をスケールさせるスピードを天秤にかけ、管理者は不要という結論に至った。そもそも管理者がいることは社員に緊張を生むし、管理者が目指すことと経営者の目指すことに齟齬が生まれたりと意思決定のスピードも落ちる。管理者が必要なのかを疑ったほうがいい」という――。
※本稿は、北原孝彦『たった4年で100店舗の美容室を作った僕の考え方』(横浜タイガ出版)の一部を再編集したものです。
店長の育成を中心に据えると事業拡大のスピードが落ちる
いち早く業績を伸ばすために、本当に管理者は必要なのでしょうか?
一度、突き詰めて考えてみる必要があると思います。
この点を突き詰めて考えた結果、僕は「管理者はいらない」という結論に至りました。
管理者というのは、経営者にとって、いわば「分身」のような存在です。
自分の分身を育てるためには、それなりの年月をかけなければなりません。
この時、僕が考えたのは「会社を成長させていくスピード」に「管理者を育てるスピード」が追いつかないのではないかということでした。
例えば、1人の店長(管理者)を育てるために2~3年の歳月がかかるとしましょう。
そうすると、店長を育てるのに必要な2~3年のうちは、店舗を拡大できないということになります。
1~2店舗の拡大ならまだしも、100店舗以上のお店に店長を置くとすると、店長の育成にどれくらい時間をかければいいのでしょうか?
僕には、想像がつきませんでした。
少なくともたった数年で、それだけの人数の店長を育て上げるのは事実上、不可能と言えるでしょう。
つまり、店長の育成を中心に据えると、会社をスケール(事業規模を拡大)させるスピードが大幅に落ち込んでしまうことになるのです。