都心でも百貨店は閉店、主流はファッションビルへ

今後の焦点は、池袋西武と横浜そごうが従来通りの売り上げを維持できるかどうかです。世間一般的には、池袋駅直結の大型百貨店で、しかも売上高国内3位の西武池袋店は百貨店を維持すべきとの声も多いように感じますが、90年代後半以降の商業施設の開業を見てみると、百貨店というケースは減っており、ファッションビルが主流となっています。

また苦戦する地方百貨店に対して都心店は好調であることが多いですが、東急百貨店本店(23年1月閉店)や東横店(20年3月閉店)のように都心店でも閉店に追い込まれるケースもあります。またターミナル駅近であっても、新宿の小田急百貨店本館のように百貨店売り場が大幅縮小されるケースも出てきました。

昔はターミナル駅には百貨店の開業がつきものでしたが、90年代後半以降にターミナル駅直結や駅近に百貨店が開業することはほとんどなくなりました。大都市圏の主なケースをざっくりと思い返してみると、1997年開業のJR京都伊勢丹、2000年のJR名古屋タカシマヤ、2011年のJR大阪三越伊勢丹くらいでしょうか。

テナント料だけで成り立つファッションビル

一方で、ファッションビルとしては、JR東日本の各駅にはアトレとルミネが、JR西日本の各駅だと天王寺駅に天王寺MIO、大阪駅にルクア大阪、それからグランフロント大阪などが相次いで開業しています。鳴り物入りで開業したJR大阪三越伊勢丹もわずか4年で閉店し2015年からはファッションビル「ルクア1100(イーレ)」に変わっています。これはすでに90年代半ば以降は一般大衆にとって百貨店は必要不可欠な存在ではなくなっていたということの表れではないでしょうか。

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百貨店もファッションビルも一見あまり変わらないように見えますが、実際には運営方法や運営コストが全く異なります。百貨店はもともと店舗自体が主体となって商品を仕入れるという形式を取っていました。

一方で、ファッションビルは完全な場所貸し業で、各ブランドがテナントで入店するという形式を取ります。現在では百貨店内にもテナント出店しているブランドもありますが、売上高のすべてを占めているわけではありません。一方、ファッションビルはテナントだけで成り立っています。