日本全国で百貨店閉店が相次いでいる
かつては“街のシンボル”として存在していた百貨店。ここ数年、地方を中心に百貨店の閉店が相次いでいる。2023年1月末には北海道・帯広市の「藤丸」が閉店。北海道内で唯一、地元資本の百貨店として営業を続けてきたが、売り上げの低迷から122年もの歴史に幕を下ろすこととなった。他にも日本全国で地方百貨店の閉店は相次ぎ、2023年4月現在、徳島県と山形県には百貨店が一店舗も存在しない。
そして、またひとつ、消滅の危機にひんした百貨店があった。鳥取県米子市で60年近く地域の顔だった百貨店「米子髙島屋」だ。
業績悪化で閉店目前となった店を、市街地活性化事業などを手掛ける地元企業「ジョイアーバン」が2020年3月に買い取り、運営を続けている。なんとか地元に百貨店を残さなくてはという熱い気持ちに支えられ、なんとか閉店こそ免れたものの、一度つぶれかけた店だ。瀕死の状態だった。
そんな厳しい状況の中、立て直しを任されたのが、これまで複数の地域で家具屋再生などを手掛けてきたインテリアショップのリビングハウス北村甲介社長だ。
なぜ、地方の百貨店はつぶれていくのか。北村氏に話を聞くと、地方の百貨店が抱える“共通の問題点”が浮かび上がってきた――。
店が廃れていく「負のスパイラル」が存在する
北村「百貨店のテナントって基本的に委託契約なんですよ。つまり、商品を百貨店が買い取ってくれるわけではなくて、売れなければ自己責任。アパレルならアパレルブランドに、在庫管理する責任があるんです。
そうなると、売れる確率が低いところ、訪れるお客さまが少ない店舗には商品をあまり置きたくないですよね。商品の入れ替わりの頻度は低くなり、新しい商品も入荷されにくい。最新のもの、人気のものが売り場に並ばなくなってしまうわけです」
そもそも、客数が少ない地方の百貨店に「出店したい」と思うテナントは少ない。特に全国展開しているようなお店だと、わざわざ客数が少ない地方百貨店に出店するメリットはほぼゼロに等しいだろう。出店したとしても、売れ行きが見込める商品は、多くのお客さまが訪れる店舗に優先して並べたいはずだ。
さらに、問題は商品だけにとどまらないという。