先延ばしグセがある人に効く“自身を動かす言葉”

先の例、3つのステップの中で挙げた「受験の手続き」や「問題集の購入」などは、たいして難しいことではありませんよね。

そんなふうに、「これならやれそうだ」というくらいのちょっとした行動を見つけることが、行動力を高めるカギです。

先延ばしグセがあって悩んでいる人や、もっとフットワーク軽く動ける人になりたいと望んでいる人は、

「いますぐにでも、できることはなんだろう?」

と、自分に問いかけるクセをつけたらいいと思います。

「いますぐに」という条件をつけると、浮かんでくるのは簡単にできることだったり、以前にやった経験があることだったりするでしょう。

気軽にできることなら、すぐに行動を起こせます。

小さな行動を一つひとつ積み重ねることで、いつしか大きな目標にたどり着くことができるわけです。

以前、行政書士として起業したいと考えている方から、ある相談を受けました。

事務所をかまえたい地域には、すでに多くの行政書士が拠点を置いていました。

起業に際してサポートしてくれるコンサルタントからは、競合他社の調査をするようにいわれているけれど、数が多すぎてやる気にならない……といいます。

そこで、

「今日1日で、何件だったら調べられますか?」

と尋ねてみたのです。

するとハッと表情が変わって、「1日5件だったら必ずできます」と答えました。

1日5件を1カ月続ければ、150件も調べられます。

こなすべき量は膨大でも、まずは今日できることに落とし込むことで、「この小さなステップなら、いますぐにでもできる」と気づいたのです。

その日から、彼はさっそく行動を起こしました。

千里の道も一歩から、といいます。高さ634メートルのスカイツリーも、展望台まで一気にジャンプすることは到底できませんが、階段を一歩一歩のぼっていけば、いつかは必ず上までたどり着きます。

大事なことは、まず階段の一段目に足をかけることです。

セルフコーチングでその一段目を自分自身に上手にのぼらせることができれば、行動力は自ずと高まっていくはずです。

「後悔しないか?」「悔しくないか?」と胸に訊いてみる

やりたいという気持ちはあっても、さまざまな事情から、「やろうか、やるまいか」と迷ってしまう場面があります。

「やらずに後悔するより、やって後悔したほうがいい」といいますが、迷ったときにはこの気持ちを逆手に取って、

「もし、自分ではない人がこれをやったら後悔しない?」

と自問自答してみると、自分で自分の背中を押すきっかけになるかもしれません。

写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

もう数十年前になりますが私が中学に入学したとき、それまで野球をやってきていたので、野球部に入部するつもりでいました。

一方で、じつは楽器にもちょっと興味があり、ギターやドラムを演奏することに憧れがありました。

これが、とある悩みを抱く原因になったのです。

ある日の新入生歓迎会で、ブラスバンド部の演奏を聴く機会がありました。

その学校のブラスバンド部は全国レベルの実力を誇っていて、すばらしい演奏だったのですが、特に女性の先輩がドラムを叩く姿がカッコよくて、とても心に残ったのです。

私は、野球部に入るか、ブラスバンド部に入るか、悩むことになりました。このとき、

「もし自分以外の人が、あのブラスバンド部で、あのドラムを叩いている姿を見たら、どう思う?」

と考えたのです。

私は、「めちゃくちゃ悔しい」と思い、ブラスバンド部に入ることに決めました。

自問自答の結果、たどり着いたこの選択が、その後も続くことになった私のバンド活動の入り口になりました。

こうしてはじまった音楽活動から得た経験や出会いを振り返って思うのは、それが間違いなくいい選択であったということです。