高校進学のお金を母親がパチンコで使ってしまった
ついでに、この3日間の間に、私は長年気になっていたことを尋ねました。高校に行かなかった本当の理由です。あんなに頑張って受験して、合格して喜んでいたのに、急に行かないと言い出したことがずっと腑に落ちないままでした。
すると、「あの時、絶対怒られると思って言わなかったけど、少年院から出てきてから高校の制服を買うまでの一週間の間で、お母さんから私の高校進学のお金を全部パチンコで使われちゃった」と言うのです。それで高校に払うお金がなくなって、行けなくなった。
でもその時は、お母さんが使ってしまったからとは言えなかった。家にいたかったから。私は子どもの大事なお金をパチンコで使い込むとか、本当に信じられない! と言ったのですが、でも「そういう人だからね」と苦笑いしていました。いくつになっても、子は親に寛容です。
「笑い飛ばして聞いてくれる人」が大事
彼女が、赤ちゃんが生まれた時に、あったかいご飯を食べさせてあげたいと思ってくれたということは、社会の財産です。社会が見捨てずに関わることで生まれたものだと思っています。
美和は今はもう30を過ぎていますが、今でも子どもたちのことで何かあると時々連絡をしてきます。そんな時にご飯をちゃんと作っているか聞くと、もううちに3日間作りに来たことなんてすっかり忘れて、「作ってるし! なんて失礼な」と言われるんです。
まあ、作ってくれてさえいればいいのですが。
子育ては、本当に一生懸命やっています。今でも時々「子どもが言うこと聞かーん! 助けて」とパニックになって電話がきたりします。
私は、「いやいや、誰の子かよく考えてごらん」と答えます。小5で児相に一時保護された時、ガラス窓を割って破って逃げて、遮断機の下りた踏切に飛び込んだのは誰ですか? そのあんたの子どもが言うことを聞かないだなんて、と笑い飛ばすと、「またそんな、古い話を引っ張り出して!」と大笑いになり、笑っているうちに何だか少し落ち着くのです。
笑い飛ばして聞いてくれる人って、大事なのです。