顧客による迷惑行為「カスタマーハラスメント」がたびたび話題に上っている。桜美林大学の西山守准教授は「日本ほど顧客が強い国はほかにない。企業は『担当外の業務は応じる必要はない』と従業員にはっきりと伝えるべきだ」という――。
「世界一のサービス」とカスハラは表裏一体
東京都は、顧客が企業の従業員に理不尽な要求や悪質なクレームを突きつける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の防止条例を制定する方針を決めた。今年秋の条例案の提出を目指すとされている。
全国初の取り組みとして期待を集めている反面、以下の点に実効性について疑問の声も見られている。
1.カスハラか否かの線引きが難しい
2.条例が施行されても、企業側の対応が変わらない限り、状況は改善しない
3.法が整備されても、クレーマーの行動は改まらない
2.条例が施行されても、企業側の対応が変わらない限り、状況は改善しない
3.法が整備されても、クレーマーの行動は改まらない
実際、東京都の条例は罰則を設けないとされており、抑止力は限定的なものになるだろう。その点では、3の主張は妥当性がある。
3を解決することは難しいが、法整備と平行して企業側が対策を講じることで、1、2を解決することは十分に可能であると考える。
筆者はコロナ前に頻繁に海外に行っていたが、サービスに関する考え方が日本と全く異なっていることに驚かされてきた。
筆者が日本人だからというのもあるが、日本の接客サービスは世界一であると実感している。しかし、それは日本の接客サービス従事者が過剰な対応を余儀なくされてきたことと表裏一体だ。