「人の話に耳を傾ける」原則を守って自由な意見を募る

①発言内容を裁かない

気持ちのよいコミュニケーションの原則は、「人の話に耳を傾けること」です。そうすることで、集団の中で非難や拒絶の不安がなく安心して自分の意見を発言できる心理的安全性が作られます。

そのためには、まずリーダーは「発言内容を裁かない」が基本です。

「裁く」ということは、自分の中には正しい答えがあり、それ以外のアイデアや解決策は認めていない状況になります。しかし、これだけ変化の速い時代に、「唯一正しい答え」などは存在しません。

ミーティングや普段のコミュニケーションで、部下が自分の想像していた答えと違うことを言ってきたとき、

「あれだけ言ってるのに!」
「それは違うだろう?」
「その考えは難しいなあ」

とその場で裁くとどうなるか? 部下は上司の反応をじっと見ているのです。そして、(あ、これは言ってはダメなことだったんだ)と学ぶ。そして、無意味な叱責しっせきや衝突を避けるため、「今後は余計なことを言わない」。

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部下の発言を裁くと「裸の王様」状態になってしまう

どうしても発言を求められる場では、「自分の意見」ではなく、上司の考えを忖度そんたくした回答をするようになります。

このようにして「裸の王様リーダー」(上司)が完成するのです。

様々なアイデアや解決策を集め、効果的な決定をして明るい未来にしていきたいのに、部下が「リーダーの答えを探して無難な発言をする」ようでは、忙しい中、わざわざ集まってミーティングをしている意味がありません。

すべての現場や状態を把握することはできません。部下から自分の気づかない視点や情報をどんどん集めていくリーダーを目指すなら、「裁く癖」は改善しましょう。