パンデミックや戦争、円安、物価高などの不確定要素が多く、1年先でも見通せない時代。強いチームは何が違うのか。ミーティングのプロとして活動する矢本治さんは「いまや現状維持は後退となる。ひと昔前のような3カ年の事業計画を綿密に作っても役に立たない。今、売り上げを伸ばしているチームは、2カ月程度の短期計画でとにかく実行に移している」という――。

※本稿は、矢本治『なぜミーティングで決めたことが実行できないのか』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

「後ほど」といわれた案件がすぐ着手されることはない

ミーティングには成功の方程式があります。

成果=アイデア×実行×継続・改善(質)

この掛け算を意識した行動を繰り返すことが成果を出すためのプロセスです。

アイデアは、目新しい工夫や着想、問題の解決策を出し合って決めるステージ。
実行は、決めた内容の具体的な行動計画を設定し、実行するステージ。
継続・改善はその後の修正・改善を繰り返すことで質を高め、成功率を高めるステージ。

掛け算なので、何かがゼロだと成果はゼロになります。

今でも「参加メンバーが発言しない」という相談はあるものの、「通常業務が忙しくミーティングで決まったことへ着手できない」「アイデアがあっても人手不足で行動に移せない」といった相談が増えてきています。

今、成果が出ないチームに多いのは、「実行ができない」または、「実行後の継続・改善ができていない」ケースです。

プロジェクトについての議論
写真=iStock.com/joka2000
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PDCAサイクルの「PLAN=計画」が中途半端になりがち

成功の方程式をPDCAサイクルに置き換えると……

成果=アイデア(P)×実行(D)×継続&改善(C・A)

成功の方程式を、一般的に馴染みのあるPDCAサイクルに置き換えると上表のようになります。

多くのミーティングでは、「誰が・何を・いつ」までを決め、しかるべき担当者らしき人物が、「詳細の計画は後ほど作ります」と述べて解散します。

しかし、しかるべき担当者は業務に忙殺されて、「詳細は後ほど」という案件が近日中に対応されることは、ほぼありません。

現場に戻れば、みんなで話し合った記憶もやる気もどんどん薄まっていきます。具体的な行動計画は中途半端になったまま、結果的に実行できない悪循環を繰り返すケースが非常に多い。

つまり、実行(D)の前の計画(P)が中途半端な状態になったままなのです。

この状態では当然、実行(D)に進みませんから、PDCAサイクルのこの後のC・Aも回りません。実行の前の「計画段階」が成果を出せない原因の1つであり、改善のチャンスになる部分です。