新鮮な魚をわざわざ寿司にする必要はない

これが、純粋な魚の場合は状況が違います。

純粋なそれぞれの魚の味を追求するならば、産地に行って食べるのが一番です。様々に集める必要はありません。

近年、日本海側のズワイガニが1杯あたり数十万円になることもありますが、提供方法は現地の旅館などで食べるというものが主です。

ところが、寿司はそうなりません。そもそも産地のキンキンの魚は、シャリとは合いにくいところがあります。酢飯によって臭みを中和する必要もありません。また、腕がものをいう寿司の技術は、人が集まる都市部に集約されていきます。

寿司は、追求をするならば都市部で食べる食べ物といえます。そして、お店の雰囲気や器なども含めた総合芸術に昇華させています。世界のセレブたちにもウケる要因の1つは、このような寿司の独特な世界観にあるのではないでしょうか。

高級寿司と回転寿司は何が違うのか

寿司は今やバリエーションも豊かになりました。1食何万円もする高級な寿司もあれば、1食1000円以内で済んでしまう回転寿司のような安い寿司もあります。

同じ寿司であるのに、なぜここまで差が生じてしまうのでしょうか。

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本稿の最後では、高級寿司と回転寿司は何が違うのかを話しながら、寿司という料理の性質について述べていきます。

高級寿司と回転寿司の違いは、他のもので例えるなら、靴の世界における「オーダーメイドでつくる革靴」と、「量販店で売られているスニーカー」の違いのようなものです。前者は数十万円以上、一方で後者は数千円という値段の差があります。

前者は1人ひとりに合わせて上質な素材を使い丁寧に作られる一方、後者は安価な材料を使って大量生産されるため値段に差が生じます。ただ、どちらが良い悪いではなく、使う用途やシーンによって両方に存在価値があると言えます。寿司の場合も、ほぼこれと同じです。