寿司界では「ウニにミョウバン」が一般的

ウニは特に鮮度が大事な水産品で、みるみるうちに品質が変わっていきます。ちなみに、あの可食部は生殖器で、卵巣もしくは精巣です。組織が脆く、放っておくと溶け、酸化が進み、臭いがキツくなってきます。それを防ぐために、塩水やミョウバンが使われます。

このうち、寿司ネタに多く使われるのはミョウバンが使われたウニになります。塩水のウニは元々日持ちせず、処理にも時間がかかり、開けると一気に使わないとなりません。このことから寿司には非効率です。

ミョウバンは、添加物のイメージが強く、嫌がる人もいるかもしれませんが、毒性はほとんどありません。サツマイモのアク抜きや漬物にも使われるものです。

ウニに添加することで、ミョウバンの苦味や独特の臭いで味が悪くなると思われがちですが、それは使い方次第です。ミョウバンの効かせ方が上手いと、嫌な部分は気にならず美味しいウニを長く楽しめるようになります。

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「寿司は1カ所に集めて味を追求するもの」

このようなこともあり、寿司の世界で価値が高いのは、「ミョウバンを上手く効かせたウニ」になっています。産地の新鮮なウニでもなく、塩水ウニでもないのです。この点に、魚の世界とは違う寿司独特の世界観が詰まっているように私は感じています。

それは、「寿司は、様々な食材を世界各地から1カ所に集めて味を追求するもの」だということです。

一貫一貫が小さく、一食の中で様々なネタを楽しむのが本来の寿司の形です。ネタを集める際に鮮度が落ちて生じてしまう生臭さは、酢飯で中和して補います。

そして、人口も多く需要の高い都市部に流通した際に寿司で美味しくいただける素材には高い価値がつきます。こうして、ミョウバンを上手く効かせたウニの価値を生んでいるのです。