借金1000万円で憔悴から1週間で明るい表情に

「借金1000万円を抱えてしまった。死にたい……」

もう少し「コントロール感」をわかりやすく理解できる例を紹介します。

小さな会社を家族で経営している50代の男性Cさん。仕事の失敗で1000万円の借金を負って精神を病み、奥さんと一緒に来院されました。

Cさんは明らかに憔悴した様子で、落ち着きもありません。

「今月中に1000万円を用意しないと、会社が倒産する。家族も養えない。もう生きていてもしょうがない。自殺して生命保険で返済するしかない」と物騒なことまで言い出します。

「銀行に相談しましたか?」と訊くと、「していません」という返事。今まで自己資金で細々と経営していたので、銀行からまとまったお金を借りたことがないと。「とりあえず、銀行に行って相談してみたら?」とアドバイスをして、その日は薬も出しませんでした。

1週間後、Cさんは別人のような明るい表情で来院しました。銀行に相談したら、家と土地を担保に1000万円の融資を受けられることになったそうです。

「月々6万円の返済ですが、それならなんとかなりそうです!」

不思議ではありませんか? Cさんが、「1000万円の借金を負っている」事実はまったく変わっていません。1週間前と比べて、借金は1円も減っていないのです。

「なんとかなる」で心が楽になる

「1000万円など絶対に返済できるはずがない。無理。どうしようもない」とコントロール感を失ってパニックとなり、「自殺する」とまで言っていたCさん。

樺沢紫苑『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』(幻冬舎)

しかし、銀行から融資を受けて、返済計画を立ててみれば、「月6万円の返済」でよかったのです。「月6万円なら払える」とコントロール感を取り戻したCさん。不安は一瞬でなくなりました。

これが「コントロール感」の力です。

悩みの根本原因を取り除かなくても、コントロール感があれば、「なんとかなる」という感覚が湧き、実際に行動にうつす精神的な余裕も生まれます。

「あー、どうしよう」「もう、どうにもならない」「もう、ダメだ。終わりだ」と口走っている時は、かなり追い込まれた状況にいます。その時、ハッと気付いて、「どうしようもない」を「なんとかなる」に転換できれば、悩みは解消するのです。

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