コントロール感でストレスは激減する

スウェーデンの心理学者ロバート・カラセックは、どんな仕事がストレスになるのか、どうすれば職場のストレスを減らせるのかを研究し、「職場ストレスモデル(カラセックモデル)」をまとめました。

横軸を「仕事の要求度(デマンド)」、縦軸を「仕事の裁量度(コントロール感)」として、様々な仕事を4種類に分類しています。図表2を見ながら解説しましょう。

左上領域の「仕事の裁量度が高く、要求度が低い」場合は、難しすぎない仕事を自分の好きなように行うことができるわけですから、心理的な負荷が低い。右下領域の「裁量度が低く、要求度が高い」場合は、難しい仕事を自由度なく行うので、負荷が高くなります。

次に、仕事のコントロール感を持ちながら、難しい仕事を上手にこなせる人は、「積極的」な職場態度となり、学習意欲やモチベーションも高く充実感もあるでしょう(右上領域)。

反対に、単純でコントロール感がない仕事、たとえばオートメーションのライン作業や内職作業のような単純作業の反復は、「受身的」となり無気力になりがちです(左下領域)。

もう1つ、研究例をご紹介します。

福岡県の産業医科大学が、6千人以上の日本人労働者を9年間フォローし、カラセックモデルと病気の発症率や自殺率の関係を研究しました。

その結果、「高負荷」のグループは、脳卒中の発症率が「低負荷」の2.73倍。また、「裁量度が低い」グループの自殺率は、「裁量度が高い」の4.1倍にもなったのです。

共に「コントロール感」の有無が、心身に大きな影響を与えることがよくわかるデータです。

この「コントロール感」というのは、仕事の種類、業種に限らず、本人が「コントロールできている」と自覚していることが大切です。

単純な内職作業でも、「スキマ時間に音楽を聴きながら楽しく作業できている!」と自覚していれば、ストレスが低いわけです。

また、仮に仕事の裁量権が与えられていても、自分で計画や目標を立てるのが苦手な人は、「自由に計画を立てていい」ことに、強い「やらされ感」を覚え、ストレスが増えるかもしれません。

同じ仕事を、同じ時間していても、コントロールできているという感覚があれば、ストレスは減り、気分は楽になる。

コントロールできないという感覚で、ストレスは増え、気分はつらく、苦しくなる。

あなたは今、どちらの状態でしょうか。