悩みに対する正しい対処法は何か。精神科医の樺沢紫苑さんは「鼻が低いというコンプレックスを持っている人が本当に困っているのは、『自分に自信が持てないこと』であることが多い。そもそもの『悩みの設定』が間違っていると、根本解決には全くつながらない」という――。

※本稿は、樺沢紫苑『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

日本でまぶたにアイシャドウを塗る女性
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「地震は怖い」はコントロール可能な悩み

「将来、大地震が起きるかもしれない。すごく心配だ」

地震などの災害を心配する人は、少なくありません。

南海トラフを震源地とする巨大地震が、30年以内に起こる確率は70%だそうです。それによって、高さ10メートル以上の津波が発生し、被害規模は東日本大震災の10倍以上。

テレビの大地震の特番を見てその危険性を知れば、「大地震が起きたらどうしよう」という不安にかられてもおかしくありません。

では、「大地震が起きたらどうしよう」という悩み。コントロール率は何%でしょうか?

個人の努力によって、「大地震が起きないようにする」ことは不可能です。ですから、「大地震をコントロールできる可能性は0%」と思うでしょう。

ならば、コントロールできないことで悩んでもしょうがない。コントロールできない悩みは、あきらめるしかないのですが、「地震で死ぬかもしれない恐怖」はいつまでもなくなりません。

私の考えでは、「地震の悩み」についてのコントロール率は100%です。

「地震を防ぐ」ではなく、「地震の被害にあわないこと」に悩みを再設定すれば、大地震の不安は100%防ぐことが可能です。

対処法の1つとして、地震のない国に移住すればいいのです。地震のない国に住めば、被害にあう確率は0%に限りなく近づきます。

しかし、「海外移住するのは無理です」という人もいますね。海外が無理なら、地震の少ない県、たとえば富山県、佐賀県、山口県に移住するのはいかがでしょう。

私がここで言いたいのは、実際に今すぐ「移住する」かではなく、「地震が心配」というまったく「コントロール不能」に思えた悩みが、実は「コントロール可能」であった、という点です。

でも、ほとんどの人は、「地震が怖い」からといって移住はしませんね。もし、「地震が怖い」が、あなたの人生の最大の悩みとするならば、さっさと移住して「不安のない生活」を送ればいいのです。

しかし、「地震が怖い」だけで移住する人はまずいないでしょう。

つまり「地震が怖い」は、さほど深刻な悩みではない、ということです。