職場に好きな人がいるとき、気まずくならず好意を伝えるにはどうすればいいか。精神科医の樺沢紫苑さんは「『告白する』『告白しない』の二者択一で考えると、結果として『コントロールできない感』が強まり、ストレスを多く抱えやすい。『好意を抱いていること』を非言語的に伝えるために、地方出張に行った際にお土産を買ってみるといい」という――。

※本稿は、樺沢紫苑『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

目前の「つらい」「苦しい」に囚われて、視野狭窄になる理由

深い悩みを持つ人は共通して、「相談できる人がいない」「自分のことを気にかけている人などいない」「自分のことを心配してくれる人なんかいない」と言います。

実際には、その人を支えている人、気にかけている人は間違いなく存在しているのに、不思議なことです。なぜそのようなことが起きるのでしょう。

人間は追い詰められると、何か1つの考えにとらわれてしまい、周囲の事柄に考えが及ばなくなってしまう。これを「心理的視野狭窄」といいます。

「心理的視野狭窄」に陥ると、周りのことがまったく目に入らなくなります。「人に相談したり、本を読めば問題解決に役立つ」という、当たり前のことも考えつかなくなります。

網膜色素変性症は、進行性視野喪失および夜間失明を特徴とする遺伝性網膜障害の遺伝的に異種群である。
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つまり、不安や恐怖に追い詰められた心理状態に陥ると、目前の「つらい」「苦しい」ばかりに注目して、自分のことだけで手一杯。他者に対する興味も関心も、気遣いもなくなってしまいます。他人の存在が目に入らなくなるのです。

さらにうつ状態などが悪化し、心理的視野狭窄が極まると、「問題解決できないなら、死ぬしかない」という短絡的な思考に陥り、自殺に至るのです。