深く悩んでいることを解決するにはどうすればいいか。精神科医の樺沢紫苑さんは「まずは世の中の大多数の人が同じように悩んでいることを知ることだ。人間は『ネガティブ・バイアス』に引っ張られやすい。悩んでいること自体、多数派であり、当たり前だ」という――。
※本稿は、樺沢紫苑『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
「普通」に考えるだけで「楽」になる証拠
現在悩んでいることに対して、「白か黒か」はっきりさせないと気持ちが悪い人もいるかと思います。
本稿では、具体的な悩みを例にあげて解説していきます。
Twitter調査「人前で話すのが得意ですか?」
結果は、「得意」17.8%、「苦手」82.2%。
それから6カ月後に、同じ質問を投稿しました。ただし選択肢は、「得意」「普通」「苦手」の3つです。
結果は、「得意」9.4%、「苦手」67.1%、「普通」23.5%でした。
「普通」という選択肢を入れるだけで、「(話すのが)苦手」と答えた人は82.2%から67.1%に、約15%も減少したのです。
「苦手か得意か」の0/100思考だと、ネガティブが強い人は、すぐに「苦手」と考えてしまいます。しかし、「普通」という選択肢を入れるだけで、15%もの人が「苦手じゃなくて、普通くらいかな」と思えたのです。
反対に見れば、三択にしたら「得意」という人が17.8%から、8.4%も減少しました。約半分になり、「人前で話すのが本当に得意」という人は10人に1人もいないという結果です。
あなたが、「人前で話すのが苦手」であったとしても、悲観する必要などまったくありません。
「人前で話すのが苦手な私は、ダメだなあ」
いいえ! 90%以上の人たちは、人前で話すのが得意ではない。「話し上手」は、非常に高度なスキルなのです。あなたは91%の多数派であって、それを無理して「話し上手」になろうとする必要はないのです。