悩むべきは「地震」ではなく「睡眠・運動・朝散歩」

3 その悩みが解消すると、幸せになれますか?

「地震が怖い」

あなたが死ぬまでの間に地震が起きなければ、あなたは「幸せな人生だった」と思うでしょうか。きっと思いませんね。

では、あなたが地震や災害にもあわず、事故や大きなトラブルにもあわず、大きな病気もせずに、健康に90歳まで生きられたとしたらどうでしょう?

おそらく、「幸せな人生だった」と思えるのではないでしょうか。

あなたの悩みは、「地震が怖い」ではなく、「健康や安全が失われることが怖い」だったわけです。であれば、「地震が怖い」といった些細な心配に時間を費やすのではなく、「睡眠・運動・朝散歩」などの健康増進活動に時間をかけるべき、と気付くはずです。

あなたが幸せになる魔法の質問

前記の「悩みを再設定する3つの質問」。自分に問うことで、「自分の悩み」が自分にとって「最も重要な悩み」「本質的な悩み」ではないことに気付くことができます。

しかしながら、ここまでの方法を実践しても「自分は本当は何をしたいのか」「何を望んでいるのか」について迷う人もいるかもしれません。

そこで、「あなたが本当に望んでいるものは何か?」を明らかにする魔法の質問を教えます。

あなたが本当に望んでいるものが手に入るのですから、「あなたが幸せになる魔法の質問」といってもいいでしょう。

『アラジンと魔法のランプ』の話は、ご存じですか? ディズニーでも『アラジン』というタイトルで、アニメ化、映画化されているので、観たことがある人も多いはずです。

あなたは今、「魔法のランプ」を手に入れました。ランプをこすると、魔神が現れて、「あなたの願いを3つだけ叶えよう」と言います。

どんな願いでも叶えてくれるのですが、「3つ」だけです。あなたは何を願いますか?

「大地震が起きませんように!」と願いますか? 絶対に、願わないでしょう。

もっと他に、叶えたい願い、願望があるはずです。先ほどまで、「大地震が心配だ!」と言っていたのに、不思議ですね。

つまり、「大地震が起きるか心配」という気持ちは、あなたのなかにあるのでしょうが、それはあなたの解決したい「3つの願い」には入らない。つまり、「たいした悩み」ではないのです。もし本当に深刻な悩みであれば、第一にお願いするはず。

低身長で悩んでいる方は、どうでしょう。「身長が180センチになりますように」と願うでしょうか。

魔法のランプを手に入れたFさんは、魔神に言いました。

「僕の身長を180センチにしてください」

Fさんの願いは叶い、高身長を手に入れました。しかしながら、Fさんの性格や人間性はまったく変わらないまま。自分勝手なFさんは、女性から好かれることもなく、一生、彼女もできずに、独身で過ごしましたとさ。めでたし。めでたし?(「カバップ寓話」より)

「時間」と「精神エネルギー」を投入して取り組むべき真の悩み

◎魔法のランプの質問A

「3つの願いを何でも叶えてくれるとしたら、その『悩み』を解消しますか?」

高身長になったからといって、モテない人が急に「モテる」ようにはなりません。それだったら、「身長」にこだわらずに、性格や人間性に磨きをかけるべき。

「魔法のランプの質問」を自分に投げかけると、その「悩み」があなたにとって、「本質的な悩みなのか?」「最優先の悩みなのか?」が、一瞬でわかるのです。

◎魔法のランプの質問B

「どんな願いでも3つ叶います。あなたの願いを3つ書いてみましょう」

次に、あなたの「願い」「願望」「夢」を3つ書いてみましょう。

書けば必ず実現する、という設定です。

「貧乏ゆすりが直りますように」「対人恐怖症が治りますように」「認知症になりませんように」と書く人は、ほとんどいないはずです。

「対人恐怖症が治りますように」と思っている人は、「みんなと楽しくコミュニケーションできますように」と願った方がいいでしょう。対人恐怖症が治ったからといって、友達や恋人ができるとは限らないからです。

「貧乏ゆすりをやめたい」「抜毛癖を治したい」というような、「自分の悪い癖を治したい」という悩みは多いです。しかし、あなたの人生の「3つの願望」には、入らないのではないでしょうか。

あなたの真の望みは「貧乏ゆすりをやめたい」ことではなく、「他の人から奇異な目で見られたくない」「変な人と思われたくない」。つまり、「たくさんの人と円滑な人間関係を築きたい」が真の願望なのでは?

樺沢紫苑『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』(幻冬舎)
樺沢紫苑『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』(幻冬舎)

もしそうなら、最初から「人間関係がうまくいきますように」と願えばいい。そして、「人間関係がうまくいく対処法」を調べて、1つずつ実行するのです。貧乏ゆすりの癖は、「円滑な人間関係の構築」を妨害するものではないと、気付くはずです。

自分が抱える「悩み」は、今この瞬間において「極めて深刻」「極めて重要」に思ってしまうものです。しかし、長い人生において、最優先、最重要の問題ではない場合がほとんど。

「魔法のランプの質問」を自分に投げかけることによって、自分の悩みの設定が「間違っていた」あるいは「ズレていた」ことに、一瞬で気付くことができます。やがて、何を目的、目標とすべきかも見えてくるはずです。

悩みを再設定することで、コンプレックス(劣等感)という呪縛から解放されます。

あなたが、「時間」と「精神エネルギー」を投入して取り組むことは、「その悩み」ではありません。

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