発生源の可能性①:海外からの人による持ち込み

それにしても今回、アリモドキゾウムシはいったいどこから浜松にやってきたのだろうか。それについて考えることは、この虫だけでなく、すべての外来種による被害防止に通じるものがある。

なぜ静岡県にアリモドキゾウムシが、発生したのだろうか。この虫の飛翔力は強くなく、南の島から風に乗って飛んできたとはほぼ考えられない。港湾地区での発生であれば、たとえば台風を避けた船の積み荷として海中に捨てられたイモ類が漂着することもあるだろう。

可能性のある原因としては、まず「人」による持ち込みだろう。

たとえば虫のついたサツマイモ、あるいはその苗を県外や国外から持ち込んでしまった可能性も否定はできない。外国人が居住している地域では、親戚から農産物を空輸してもらい、「ふるさとの味」に触れようとすることもあるかもしれない。

もちろん国の職員の方々が、水際でそのような侵入を徹底的に防ぐため、日夜懸命な努力をされていることは言うまでもない。

写真=iStock.com/abdulkadir hasanoğlu
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発生源の可能性②:ネット上の個人売買

あるいは、近年なんでもネット販売できる時代になり、個人で手軽にモノを売買できるという盲点がこの問題に潜んでいる可能性も考えられる。

事実、2022年7月12日の沖縄タイムスプラスは、サツマイモなどの植物を沖縄から県外に送る法律違反の事例が急増している、とする記事を掲載した。2020年まで1件も違反はなかったが、21年に10件、22年に3件(同年7月時点)の違反が確認されたという。すべてフリマサイトによる個人間の取引だった。

国の事務所の記者会見では、植物防疫法の存在を知らずに売買した、あるいは規制の対象とは知らずに出品してしまった人がいたという。