おトシヨリに必要なのは、体全体を診て「これでは薬が多すぎるから、必要なものから5種類選んであげるね」と言ってくれる診療です。これを「総合診療」といいます。

残念ながら、総合診療をするドクターが未だに日本に根づいていません。増えていってほしいのですが、今の大学病院の体質では恐ろしいくらい時間がかかりそうです。

ですから、もらった薬を言われるままに飲んでいたら、寿命を延ばすどころか、縮めてしまうかもしれません。自分の体の調子をいちばんわかっているのは、あなたです。薬を飲んでおかしいと思ったら、しっかりと話を聞いてくれる医師を見つける必要があります。

写真=iStock.com/Daisy-Daisy
※写真はイメージです

「薬が合わない」「薬を減らしたい」と相談すればわかる

それでは、患者の話を聞いてくれる「良い医師」を見つけるには、どうすればいいのでしょうか。まずは、薬について医師と話をしてみることです。高齢者診療の基本は、個人に見合った診療をすることです。70歳を超えたおトシヨリには、とくに必要です。

年をとるほど、体の状態や機能は、個人差がとても大きくなります。たとえば同じ薬を飲んでも、効く人がいるいっぽうで、だるさやふらつき、眠気などの症状が出る人もいます。

おトシヨリの個人差が大きいことを知らない医師や、患者を観察していない医師にとっては、「正常値」に戻すことが正解だと考えるわけです。こういう医師から処方された薬を飲み続ければ、明らかに体がダメージを受けてしまいます。

そもそも薬とは、「体調を良くするためのもの」です。飲んで具合が悪くなるのであれば、薬ではなく、それは毒です。薬をもらって、だるさやめまいなどの症状があったら、遠慮などせず医師に伝えましょう。

「変えてもらった薬ですが、飲むと頭がぼんやりして、だるくなるんです」と言ってみる。

「薬が合わなかったようですね」「量を減らしてみましょうか」「違った薬に変えてみましょう」と対応してくれるのであれば、良い医師です。「かかりつけ医」として長く付き合っていけます。

反対に、「この薬はよく効くはずだから、がまんして飲み続けてください」と患者の訴えに取り合わない医師だったら?

さっさと医師を代えましょう。おトシヨリを診察する基本をわかってないヤブ医者です。付き合えば付き合うほど、あなたの健康がむしばまれていくことになります。

病院との相性は、待合室でわかる

医師の技量も大事ですが、相性も大事です。

おトシヨリになれば、病院や医師はとても身近な存在です。月に1回は通院し、医師と顔を合わせると思います。診察のたびに暗い気持ちにさせられ、気疲れするような医師なら付き合わないほうがいいでしょう。