10人に3人がパワハラを経験している
「うちの会社に限ってパワハラなどのハラスメントはない」と、社員を信頼し、安心している社長も少なくありません。しかし、実際は問題が見えていないだけだと認識した方がいいかもしれません。
厚生労働省が4年に1度実施している『職場のハラスメントに関する実態調査』の令和2年度調査では、労働者のうち、過去3年間にパワハラを一度以上経験した人の割合は31.4%でした。
また、過去3年間に各ハラスメントの相談があったと回答した会社の割合をみると、高い順にパワハラ(48.2%)、セクハラ(29.8%)、顧客等からの著しい迷惑行為(19.5%)妊娠・出産・育児休業等ハラスメント(5.2%)、介護休業等ハラスメント(1.4%)、就活等セクハラ(0.5%)となっており、やはり、他のハラスメントと比べて、パワハラに関する相談が多いことが分かります。
どのような言動をパワハラと感じるかについては、個人の主観による部分もあるので、この中には、客観的に見れば、適正といえる業務指導を受けただけであるにもかかわらず、それをパワハラだと受け止めた方も含まれている可能性はあります。しかし、「パワハラと受け止めた」という人が相当数いるということに変わりはありません。
人格否定ワードは「即アウト!」
どのような言動がパワハラにあたるかという線引きは、容易ではないのですが、単なる人格攻撃にあたるような発言は絶対にNGです。
当たり前の話ですが、人格を否定されるような言葉で叱られたら、社員は精神的なダメージを受け、人としての尊厳も傷つきます。
(例)
「よく生きていられるな」「死ね」「消えろ」「目障り」「顔を見ているだけで吐き気がする」「小学生以下」「字は読めるのか」「出来損ない」「ゴミ」など。
また、当然ですが、パワハラの6類型にあるように、殴る・蹴るといった、暴力行為も許されません。これらの言動を行った場合には、「パワハラはしていない」といった反論はまず通用しません。