なぜ日本人はこんなにも貧しくなってしまったのか。経済アナリストの森永卓郎さんに『親子ゼニ問答』などの共著者でもある息子の森永康平さんが尋ねたところ、「小泉・竹中構造改革では『不良債権処理』という名目で、本来潰れる必要がない企業まで潰された。これが日本経済低迷の最大要因だ」という――。

※本稿は、YouTubeチャンネル『森永康平のビズアップチャンネル』の一部を再編集したものです。

タワマンとショッピングモールが日本人の暮らしを破壊した

【森永卓郎】グローバル資本主義は、金持ちをより豊かにしましたが、その一方、庶民の暮らしはどんどん悪くなっています。

その上、生産性向上の名のもとにつまらない仕事ばかり押し付けられる、ろくでもない世の中になってしまいました。

なぜそうなってしまったのか。わたしは規制緩和と構造改革が日本をボロボロにしたことこそ最大の理由だと思います。

タワマンがその一例です。

かつてタワマンは建築基準法で規制されていましたが、規制緩和でタワマンをどんどん建てた結果、人々の生活は良くなったでしょうか。

一部の富裕層が豊かな生活を享受する一方、タワマンによって電力消費量が増え、環境への負荷が大きくなっています。

タワマンは、人々をよりリスクの高い暮らしに追いやったと思います。

タワマンは、人々をよりリスクの高い暮らしに追いやった(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/kurosuke
タワマンは、人々をよりリスクの高い暮らしに追いやった(※写真はイメージです)

かつては日本中いたるところに商店街がありましたが、大店法の改正で郊外に大規模なショッピングモールが建設され、地元の商店街はことごとく叩きつぶされてしまいました。

商店街の店主は一国一城の主で、地域住民とのつながりを持っていました。

しかし、商店街が廃れ、店主さんたちは廃業して単なる労働者となり、地域社会が崩壊の危機に直面しています。

「生産性が上がった」と手放しで喜べるようなものではありません。

むしろ、人々の幸福が奪われてしまったのです。

こういう間違った政策をグローバル資本主義者たちが進めてきた結果、日本人の暮らしはちっとも良くなっていないのです。