「年収300万円時代」を作った構造改革

【森永康平】2003年に『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)という本を書かれていますが、その後日本経済は、非正規雇用が約4割、その賃金は約170万円という状況になりました。本の予想がある意味では的中したわけですが、2003年の時点でなぜ予見できたのでしょうか。

【森永卓郎】当時、小泉純一郎氏と竹中平蔵氏、木村剛氏が手を組み、構造改革を始めていたからです。いずれ日本をぶっ壊すのが目に見えていました。

2005年06月03日、衆議院郵政民営化特別委員会で、小泉純一郎首相に助言する竹中平蔵郵政民営化担当相(肩書はいずれも当時)
写真=時事通信フォト
2005年6月3日、衆議院郵政民営化特別委員会で、小泉純一郎首相に助言する竹中平蔵郵政民営化担当相(肩書はいずれも当時)

彼らの手で、不良債権処理が進められていました。これがあたかも正しい政策であるかのようにメディアを通じて宣伝され、国民もこの政策を支持しました。

当時、わたしはニュースステーションという番組に出演していて、この不良債権処理プランがいかに危険かを、繰り返し説明していました。

しかし、メディアの人間は金融のことをまったく知らないので、なかなか理解してもらえませんでした。

その上、彼らはとんでもないルールを持ち込んで一気に不良債権処理を進めたので、国民からは一体何が行われているのかさっぱりわからなかったと思います。

「マグロの解体ショー」のように売り飛ばされた

【森永卓郎】彼らは不良債権処理の名目で、本来潰れる必要がない企業の資金を断ち切り、その資産を二束三文で売り飛ばしていったのです。

ほとんど、タダでくれてやったようなものでした。

100億円近くかけて開発したゴルフ場が、アメリカ系の投資銀行にわずか数千万円で売却される、といったケースが当たり前のように起きていました。

裏では以前から綿密なプランが練られていて、外資と、小泉構造改革に協力する企業だけが、日本の大切な資産を二束三文で買いあさったのです。

まるでマグロの解体ショーを見ているようでした。