小さな子どもは、寝返りの回数がとても多いです。でも、年齢を重ねて筋肉の柔軟性がなくなったり筋力が落ちたりすると、寝返りの回数は減ると言われています。若くても、背中の筋肉が固いと寝返りの回数は減ってしまいます。

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悪い夢を頻繁に見る、夜中や明け方によく起きてしまう、朝起きても疲れが取れていない……。こんな悩みを抱えている人は、背中の筋肉が慢性的に緊張して、ガチガチになっている可能性が高いです。背中をゆるめれば、寝返りで体は快適な状態になり、深く安定した呼吸とともにこわばりも解け、リラックスできるようになります。

背中が固いと呼吸が浅くなる

背中の固さと呼吸との関係をもう少し説明しましょう。背中が固くなると、呼吸が浅くなってしまいます。呼吸が浅くなると、肺に酸素を十分に取り込めないので、体内の酸素量が減少します。疲れやすさ、冷え、集中力の低下、自律神経の乱れなどを引き起こします。

これは睡眠中も同様です。呼吸の質を上げて良質な睡眠を得るためには、「深い呼吸」が大切です。このためには、筋肉をゆるめる必要があります。

呼吸というと、「肺が広がったり縮んだりする」と考えがちですが、肺そのものが勝手に動いてくれるわけではありません。肺の周辺にある筋肉(呼吸筋)の動きによって、呼吸は行われています。

人の肺は、胸椎きょうついや肋骨、胸骨、横隔膜などで囲まれた「胸郭きょうかく」と呼ばれる骨組み状の箱の中におさまっています。その内側の空間を「胸腔」と呼びます。胸腔が広がったり縮んだりすることで呼吸活動が行われているのですが、胸郭を動かしているのが、呼吸筋なのです。呼吸筋が固くなって動きが悪くなると、胸郭はうまく広がらなくなります。

睡眠の質を高める寝る前の習慣

呼吸筋として代表的なものの一つに、肋骨の周辺にある「肋間筋ろっかんきん」があります。肋間筋は、肋骨を取り囲むようにぐるりと背中側にもついているので、背中の筋肉が固くなると、肋間筋のスムーズな動きをさまたげてしまい、肋骨がうまく広がらなくなります。そうすると、もう一つの代表的な呼吸筋「横隔膜」の動きも制限されます。こうして胸郭が広がらなくなると、無意識のうちに呼吸は浅く、速くなります。

筋肉はピンポイントで固くなるのではなく、引っ張り合い、連動しています。背中にある、大きな筋肉をたくさん動かしてゆるめることで、胸まわりの筋肉や呼吸筋をゆるめることができるのです。