税金を「払っているから見せろという話です」
著述家のダヴィッド・オルソガ氏は、「英国に黒人のプリンセス。誰が想像したことでしょう」といっている。
英国王室は奴隷制の中心にいた。ロンドンは白人中心の都市。それでもオルソガ氏は、「英国王室が英国の現実に追いつく真の瞬間になりうると思っていた」という。
その期待通り、聡明で美しいメーガン妃は“マジック”のように、多くの英国の国民に受け入れられたのである。
しかし、メディアはメーガン批判を続け、王室は沈黙を守ったままだった。
アーチウェル戦略顧問のティム・バート氏は、「英国タブロイド紙は王室と特別な関係にあります。王室機構とマスコミの間にはある種の暗黙の契約があるのです。王室には納税者が納めた税金が使われています。だからメディアは、その代償に王室のメディアへの対応を期待するのです。払っているから見せろという話です」
元宮殿担当官のジェームズ・ホルト氏は、「彼らの要求に逆らうと愛想を尽かされ、ことあるごとに否定的なことを書かれ、強調され続けるのです」といっている。
英国王室にとって“沈黙は金”なのだ。しかしメーガン妃は、果敢にメディアのあり方を批判し、挑戦しようとしたのである。
「彼らに悪く書かれたら自分が正しい証拠」
当然のことながら、王室の中には奴隷の絵や彫刻が飾られている。ハリー王子も「(自分の中にも=筆者注)無意識の偏見があった」ことを認めている。
この高い壁は崩せるのか。王室の人間から差別的な扱いを受けていたことを、2人が明らかにするのは王室を離脱してからである。
エリザベス女王や兄のウィリアム王子夫妻、チャールズ皇太子とも会い、結婚式が華々しく開催されようとしていた。
だが、そこに、離婚していたが結婚式には出るといっていた父親が、パパラッチから10万ドル受け取って「やらせ写真」に協力していたことが明るみに出る。その後、メーガン妃が父親に宛てた手紙まで、父親は金目当てにデイリー・メール紙に渡してしまって、内容を公開されてしまうのだ。
だがメーガン妃は強い女性である。私文書を公開したデイリー・メール紙を提訴する。
2年間にわたり「嘘を流され続けてきた」(メーガン妃)英国メディアとの闘い。ハリー王子は母・ダイアナ妃がこういっていたと語っている。
「彼ら(メディア)に悪く書かれたら自分が正しい証拠」
そして2人はカナダへの移住を決行するのだ。その際、父親のチャールズ皇太子には話したが、エリザベス女王には会わせてもらえなかったという。