王室は「家族内で対処する」と発表したが…
SNSでも、激しいメーガン批判が燃えさかり、「メーガンは死ぬべき」だというものまであった。だが調べてみると、少数の人間たちが83のアカウントを使って、さも多くの人がメーガン批判をしていると見せかけていただけだった。しかし、その中には彼女の義理の姉もいたのである。
「本当に頑張ったんです。でも、(王室には)溶け込めなかった」(メーガン妃)
王室による心理的な虐待が続き、うつにもなったとメーガン妃はいう。
王室の人間から、赤ちゃんの肌の色のことをいわれたこともあったと告白し、英国内で「王室の人間が差別」と大きな騒ぎになった。
この時は、エリザベス女王の名前で声明を発表している。
「2人にとって困難な数年間だったと知り、王室全体が悲しんでいます。提起された問題点、特に人種問題は懸念します。記憶との相違点はあるものの、深刻に受け止め、家族内で対処していきます」
だが、この問題はその後、放置されたままのようだ。
いじめにも似た陰湿な人間関係が描かれている
見終わった正直な感想は、ハリー王子はメーガン妃と結婚しなければ、王室を出ることはなかっただろうということだった。
人種的偏見に晒されて生きてきた母を見て育ち、自らもアメリカ系白人とアフリカ系黒人の血を引くメーガン妃は、差別問題への意識が高く、自分が思ったことをはっきり口に出す現代女性である。
英国王室に代表される英国国民の差別や偏見に屈して生きる人ではない。一方、ハリー王子は、スペア的な生き方に不満を抱えていても、自ら進んで王室を飛び出そうと考える人ではないと思う。
英国のEU離脱(ブレグジット)をもじって、2人の王室離脱は「メグジット」といわれるそうだが、文字通り主体はメーガン妃だったと思う。
メディアから高額な契約金を受け取っていることが批判されるが、ハリー王子がいっているように、王室を離れれば、それまでもらっていたおカネももらえなければ、警備もつかなくなる。カネはともかく、警備なしにパパラッチたちと戦うのは恐怖だったに違いない。
ロサンゼルスに広大な邸宅を構え、そこを警備するための費用は莫大なものになるに違いない。彼らにはカネが必要だったのだ。
Netflixのドキュメンタリーは、2人の一方的ないい分だけで、都合の悪い部分は出さないのだろうが、それを差し引いたとしても、タブロイド紙の取材の仕方や、王室のいじめにも似た陰湿な人間関係が、よく描かれていると思う。