5%社員は、「信頼」を得ることを20代のトッププライオリティに置きます。20代で「信頼」を得て、30代以降に「一緒にやらないか?」と重要なプロジェクトなどに抜擢ばってきされることを狙っているのです。

「信頼」を積み重ねなくてはいけない20代で、「1分だけいいですか?」と軽はずみな声かけをして、かえって相手の信頼を損ねるようなヘマをしない戦略を採っていたのです。

「お膳立て」で期待値コントロール

それでは、5%社員が20代の頃にどうやって上司との認識ギャップを埋めて、相手から「信頼」を得ていたのか。共通点は2つありました。

越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)

1つめは「期待値コントロール」です。

これは、上司が心の中で設定している、「相手はこういう行動をしてくれるだろう」「その結果、このような成果が出るだろう」などという“期待”を、適切なものになるようにうまく調整することです。

上司というものはネガティブ・サプライズ、つまり不意に時間を奪われることを嫌がります。管理職は予定が詰まっていて、こなすべき業務が多く、文字通り分刻みで動いていることもあります。

前触れもなく突然話しかけると、「信頼」を得るどころか不快に思われて、「面倒くさい新人」などと認識されるリスクがあります。

そこで5%社員は共通して、20代の頃から事前にうまく予告をすることで、上司の期待値をコントロールしていました。

上司を巧みに巻き込む力

たとえば、出張報告書の作成を課長から指示された時。5%社員は「進捗20%程度で、一度チェックしてもらえないでしょうか」と、その場で上司の許可をもらいます。上司との認識ギャップを埋め、期待値を把握しながらそれを超えるように行動します。

あるいは、難しい顧客対応を上司から任された時。5%社員は「謝罪訪問が必要になるようなクレーム対応の際は、炎上しないように早めに声をかけさせてください」などとあらかじめ断るようにしています。

顧客と実際にやりとりをして、リスクが現実のものとなりそうな気配になったら、速やかに「謝罪訪問になりそうな例の案件の対処について、ご相談してもよろしいでしょうか」と上司に声かけをします。

必要があれば、上司に声をかけて助けを求めることは業務上当然のことです。しかし、それが「不意打ち」かつ「期待値を下回る結果」にならないように、あらかじめ上司と上手に状況や条件を共有します。

このようにして、上司の期待値を良い意味でコントロールすることで、「ほうれんそう(報告・連絡・相談)がしっかりできる新人だ」と認められるといいます。