各社で「人事評価トップ5%」の評価を得て活躍する人は、20代30代から明らかにほかとは異なる素養があるのか。AIを用いたデータ収集・分析を行い、『29歳の教科書』を刊行したクロスリバー代表の越川慎司さんは「5年におよぶ調査の結果、トップ5%と下位20%を分ける行動習慣のちがいが観察できた」という──。(第1回/全5回)
2万人調査でわかった「トップ5%社員の共通点」
働き方改革を支援する「クロスリバー」を立ち上げ、各社の「人事評価トップ5%社員」(以下、「5%社員」)の言動データの収集・分析をスタートして5年が経ちます。調査対象者は延べ2万人を超えました。
現在、ビジネスの最前線で活躍し続けている5%社員は、いったいどのような20代を過ごしたのでしょうか?
各社の5%社員の行動を調査、ヒアリングをすることでわかった「意外な共通点」を紹介します。
【行動習慣①】自分の「弱さ」をさらけ出す
あなたが信頼している人を思い浮かべてください。
信頼する家族、パートナー、同僚、先輩、上司……そうした人たちはおそらくみな、自分の「弱さ」をあなたに対し示してくれているのではないでしょうか。
とくに家族は、お互いの「強み」と「弱み」を理解している。だからこそ、信頼し合えるのです。
自己開示と返報性の原理
20代でまだ成熟していないビジネスパーソンの中には、強がって自分の得意な部分ばかりアピールする人がいます。
20代から成果を出していた5%社員は、なおさら自分の功績をアピールするような人々なのかと考えたところ、実際は逆でした。むしろ、「自分の弱さ」を積極的に披露していたのです。
「自分に自信が持てないから、プレゼンが苦手なんです」
「データ分析はできるけど、文章を書くのがへたで……」
「朝がホント弱くて、夜遅くになってようやく頭が冴えるんです。社会人としてまったくなってないなって、自己嫌悪ですよ」
「データ分析はできるけど、文章を書くのがへたで……」
「朝がホント弱くて、夜遅くになってようやく頭が冴えるんです。社会人としてまったくなってないなって、自己嫌悪ですよ」
自分が弱みをさらけ出すと、相手もさらけ出してくれます。「返報性の原理」が働いて、相手が腹を割って話してくれたら、自分もお返ししようと自己開示をしてくれるのです。
5%社員は20代のころから自分のダメな点を自己開示することを恐れず、そのため周囲の先輩、同僚たちも心を開いてくれるようになって、結果良い関係性を築いています。