「結論ファースト」で上司の心理ハードルを下げる

2つめは、声をかける際の「一言目の工夫」です。

5%社員は20代の頃から、上司は忙しいということを前提に、「何のために何をすべきなのか」を端的に伝えるようにしています。

たとえば、流通サービス業の5%社員と、金融機関の5%リーダーは、ヒアリング調査の際に「最初の10秒で要点を伝えること」をモットーにしている、と話してくれました。別個の機会に聞いたのですが、まったく同じ内容だったことが非常に強く印象に残りました。

具体的には、「今ちょっといいですか? 実は再来週の木曜午後に予定されているA社の見積価格について相談がありまして……」というような声かけの仕方はしません。

どんな目的から、上司にはどのように行動してほしいのか、「相手に求めるアクション」を最初の10秒で伝えます。

「10秒で伝える」技術

たとえば、「10億円の商談のA社への見積もりについて、3つの案のうち1つ選んでいただきたいのですが」などと伝えて、上司と相談する時間をしっかり確保します。

また、重要な情報だけに絞り、相手に求める行動を先に伝えてしまうだけでなく、回答を絞ることもしていたそうです。

つまり、「どう思いますか?」と自由に答えられるオープン・クエスチョンではなく、選択肢を複数提示し、その中から上司に選ばせるクローズド・クエスチョンをします。そこに自分の見解も添えて、しっかり調査・検討したうえで相談していることを上司にアピールします。

「3つの案がありますが、私はリターンが最も大きいA案が良いと思います。課長はどの案が良いと思われますか?」
「イベント時のセキュリティ対策について確認したいので、IT部門の本田さんではなく、総務部の吉田さんに相談するとよいでしょうか?」

このように聞けば、たとえ忙しい相手であっても、「これならすぐ答えられそうだ」「情報・条件が整っているから、自分は判断だけすればよい」と考えて、さっと時間を割いてもらえるのです。