※本稿は、越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
20代後半にやってくる「大きな転機」
マイクロソフトの役員を2016年に“卒業”し、働き方改革を支援するコンサルティングチーム・クロスリバーを起業してから、5年間で800社超、総計17万人の変革を支援してきました。また、合わせて4つの大学・専門学校で、学生に対してキャリア開発の授業を行ってきました。
就職を控えた学生や入社間もない若手社員は、希望と期待に満ち溢れ、目をキラキラと輝かせて共に活動してくれます。20代のパワーに触発されて、私自身のモチベーションも否応なく高まります。
ところが、20代後半になると元気がなくなる若者が多いのです。また、転職や社内異動、留学や起業の相談が増えるのは、30代を迎える直前が圧倒的です。
「このまま30代を迎えても大丈夫でしょうか?」
「このままで私のキャリアは大丈夫でしょうか? 不安です」
「安定」という幻想
最近の20代、30代は、固定観念や常識に縛られて、目の前で起きている変化をネガティブに捉えてしまう傾向があります。
それ以前の時代を生きた親世代の影響を受け、「安定した人生を送るためには、よい大学に入って、大企業に就職し、キャリアアップをする必要がある」という思い込みがそこにはあります。
親世代は、確かにそれでギリギリ生き抜くことができたかもしれません。しかし、世の中の変化は確実に進んでいます。とくにここ5年の変化はすさまじいものがあります。
過去の環境にアジャストした古い常識では、残念ながら新しい環境を生き抜いていくことは不可能です。