ジョブ型雇用や雇用延長の影響で、ビジネスパーソンのキャリアはどう変化していくのか。クロスリバー代表の越川慎司さんは「20代はスキルや経験がないままに先輩社員と競争しなければならなくなります。一方で、雇用長期化でシニア社員は増える。大きな流れに身を任せているだけでは、どこにも行けずに会社にしがみつくだけの“厄介者”になる。会社に頼らないマルチキャリア化が必要です」という──。(第4回/全5回)

※本稿は、越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

ジョブ型雇用で20代は不利になる

これから日本企業ではジョブ型雇用が進みます。

プロセスではなく成果を評価するトレンドが加速します。また、企業内教育は減少し、労働者側の自律学習が求められるようになります。時間をかけて社員を教育するのではなく、即戦力人材を社外から引き抜いたり、プロ人材を業務委託として採用したりする傾向が顕著になります。

このトレンドでは、20代の若手社員は他の年代より不利になります。これまで会社側が時間とお金をかけて育成した30代以降の社員と、自律学習を前提として教育機会を失った20代社員とが同じ基準で比較されるからです。

オフィスの階段を一列で下りる人たち
写真=iStock.com/Robert Daly
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仕事は「与えられる」ものから、「取る」ものへ

さらに、ジョブ型雇用で職責が明確になることで、職場の先輩が助けてくれなくなるかもしれません。成果に対する評価がエスカレートして、先輩・後輩がポジションを奪い合うライバルになることもありえます。

このような状況では、たとえ20代の若手であっても、「待ち」の姿勢でいたらゲームに参加することすらさせてもらえません。「仕事は自分で取りに行く」というスタイルで働くことが求められます。

リモートワークで上司や先輩に話しかけられるのを待っているのではなく、みずから声をかける姿勢が必要です。

また、自分でタイムマネジメントをして、浮いた時間をスキル習得に充てないといけません。自律学習でスキルを習得できたら、自分で仕事を受けに行くのです。