マルチキャリア化:ステージ2

10代後半から20代にかけて、初めて社会人として企業に所属します。この段階をステージ2と位置付けます。

このステージでは、学ぶ場所が所属する企業となり、会社の利益拡大に向けて必要な業務スキルを徹底的に教わります。社内研修という形式の座学や、職場で先輩や上司から学ぶOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)形式で、会社が必要とするスキルを積み上げていきます。

気をつけなくてはいけないのは、このステージでの教育は、あくまで会社の利益向上が目的であることです。ドライな言い方ですが、社員は、会社にとってあくまで資源の1つであり、個々人は第一優先ではありません。

会社の利益向上を優先し、社員個人の価値向上はその次という現実を理解しないといけません。そのうえで、自分が会社にとっての戦力だと見てもらえるようにする戦略を取っていくべきです。

たとえば、コンプライアンス研修の受講を指示されることがあります。これなどは個人の価値向上のためではありません。業務でコンプライアンス違反を起こすと、賠償責任や謝罪対応などで会社の価値を落とすことになってしまうので、全社員に研修を受けさせるのです。

この点を考えれば明らかなように、「会社の研修はあくまで会社の価値向上が目的だ」と割り切る覚悟が必要です。

テクノロジーを用いた教育のイメージ
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

マルチキャリア化:ステージ3

今後もっと必要となるのがステージ3です。

従来のように、人事部などから言われたことをやる受け身の社内研修ではなく、自分で必要なものを自分で考えて自発的に学んでいくプロアクティブな学習プロセスです。

ステージ2とは違い、ステージ3は個人の価値向上が主たる目的になります。また、勤務時間外に社外で行うものが中心となっていきます。自分の成長に寄与する学習であるかをしっかり見極めながら進んでいかなければなりません。学んだことを自身の行動に生かして、社内外で評価されるようになるのです。

このステージ3の教育、学習が「複業人材」になれるかどうかを決めます。企業評価だけでは、他の企業でも成果を出すことができるかどうかの判断が難しくなるからです。

今後は、個人の技能や経験が客観的な判断で数値化されるようになっていきます。個人の側も、社会で広く認められるスキルや経験を積み重ねて数値化できるようにしておくことが必要になっていくのです。

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