定年レス時代に「厄介者」になる人

日本でも労働力不足を背景に、日本政府は定年年齢引き上げや継続雇用延長を各企業へ働きかけています。

65歳を超えても働きたい労働者は7割近くいます(出所:2019年NRI社会情報システム調査)が、希望者全員が65歳を超えて働ける仕組みがある企業は約2割しかない(出所:2020年労働政策研究・研修機構による調査)からです。

越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)
越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)

そこで日本政府は、2013年の高年齢者雇用安定法で、定年後も従業員の希望があれば65歳まで雇用を継続することを義務付けました。2021年には新たに高年齢者就業確保措置も加わり、さらなる高年齢者の雇用促進が進められています。

このように、法律と労働力不足を背景に、シニア社員が長く会社に居続ける傾向にあります。そうなると、中には仕方なく働いていたり、過去の栄光にしがみついて若手社員が進める改革に反対したりするシニア社員が出てきます。

こうした不機嫌なシニア社員は社内の厄介者になっていくでしょう。将来、そうした厄介者に自分自身がならないようにするために、歳を重ねても必要とされる人材になるために、いまのうちから新しい価値観や新しい視点に対応していく姿勢を持つことが必要です。

マルチキャリア化が生き残りのカギ

今後は、少子高齢化による人材不足が進み、そして、Web3の分散型ネットワークで誰にでもつながることができるようになります。そうなると、有能な人材は引く手あまた。複数の会社に属して複数の仕事を行うマルチキャリア(複業)が当たり前になります。

人口が減少する中で必要な労働力を埋め合わせることができなければ、働く個人が2人分、3人分の成果を出さないといけません。

これまでのように一個人が1つの企業に所属するモデルは崩壊します。一個人が複数の企業および組織に所属し、複数の職責を全うすることになります。そうすることで社会に貢献し、その貢献に応じて報酬が上がっていきます。

1つの企業や組織に所属するだけでは給与の大きな上昇は望めませんが、マルチキャリアになることで、それが可能になります。