4月16日に告示される衆院東京15区補選で、作家の乙武洋匡氏が無所属での出馬を表明した。ジャーナリストの尾中香尚里さんは「国政選挙の立候補者が与党寄りか野党寄りかのスタンスを曖昧にするというのは、有権者に対して不誠実だ」という――。
衆院3補選は「自民が政権を担い続けるべきか否か」の選択
衆院の三つの補欠選挙(東京15区、島根1区、長崎3区)の告示が16日に迫っている。主要政党の候補擁立への動きがなかなか固まらなかった東京15区も、8日に作家の乙武洋匡氏が無所属での出馬を正式表明したことで、すべての選挙で「構図がほぼ固まった」ように報じられている。
だが、主要政党の擁立が出そろったことを指して「構図が固まった」と呼ぶことには、違和感を禁じ得ない。小選挙区制で争われる衆院選は、国政与党と野党の二つの陣営が争う「政権選択選挙」であり、それは補選であっても変わらない。
重視すべきは「どの候補がどちらの陣営に与しているか」だ。すべての候補者は、現在の岸田政権に与するのか対峙するのか、つまり「与党と野党のどちらの立場で臨むのか」について、立場を明確にすることが求められる。
特に今回の3補選は「自民党にこれ以上政権を任せるべきか否か」が、近年になく強く問われている選挙だ。自民党に対する国民の怒りを当てにして、自らを「野党系」の如く見せかけ、選挙後に口をぬぐって自民党側に転じる、という行動は許されない。
「与党も野党もどっちもどっち」とうそぶきながら、時々で都合よく双方の立場を使い分けてきた「第三極」的政党や候補者は、そろそろ自らの立場を選び取り、その結果に責任を取る覚悟を持つべきだ。