昨今、転職する人が増えている。「しかし、2022年7月に調査したところ、1年以内に転職した20代、30代4770人のうち、21.4%が転職を後悔していました」と指摘するのは、800社超17万人の働き方改革を支援してきたクロスリバー代表の越川慎司さんだ。自身3回の転職をしてきた越川さんは「転職に成功する人としない人を分けるのは、“成功の定義”があるかないかです」という──。(第5回/全5回)

※本稿は、越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

選択権を取り戻せ

自分の人生を誰かにコントロールされると、精神的にも不安定になります。「会社に運命を託します」ではなくて、「自分でやる」という選択権を握ることはとても大切です。

働き方、働く場所や成果の出し方などを自分で選ぶことができる権利を「自己選択権」と呼びます。自己選択権を得るためには、会社で「すべきこと」「したいこと」「できること」の3つのバランスを考えていく必要があります。

「したいこと」を主張するだけでは自己選択権は得られません。「すべきこと」をしっかりこなし、「できること」が増えていけば、「したいこと」を選択できるチャンスが広がります。

青空に伸ばした手
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キャリアの7割は「偶然の出会い」

とくに若手の方々は、「すぐにでも会社を辞めてやろう」とならずに、長期スパンで人生設計を考えてほしいのです。

「したいこと」だけやれる世の中ではありません。8割以上の「すべきこと=やりたくない仕事」をして、給料がもらえる仕組みになっています。

「すべきこと」を着実にこなしながら、「できること」を増やせば、「したいこと」が偶然見えてきます。

キャリアの7割は「偶然の出会い」で生まれるといわれています。その出会いを引き寄せるために、成果を残して実力をつけていくことが必要です。

20代30代は「Will」「Can」「Must」で考える

私も20代の頃には、将来マイクロソフトの役員になることや、二度も起業をすることになるとは考えてもみませんでした。とくに20代後半には、最短距離で成果を残すことに集中し、昨日よりも今日、今日より明日と、少しでも成長することを願って日々の業務をこなしていました。

そうした積み重ねの中で、「すべきこと」「したいこと」「できること」がすべて重なると「働きがい」になることに気づいたのです。