そもそも不安と不満はマイナスの要素であり、それを取り除いたとしても満足や安心には変化しません。満足はプラスの要素ですから、ただマイナスの要素を取り除くだけではゼロになるだけで、そこにプラスが生まれることはないのです。

就職や転職に成功している人たちは、ネガティブな感情があったとしても、常にそれ以上に冒険心とワクワク感を持ち続けています。悲観思考を持ちつつ、楽観主義ベースで実践する。行動を起こす。

それがバランスの取れた人生戦略です。

最大のリスクは「何もしない」こと

私自身、5年後10年後の社会に具体的にどのような変化が起きているか、すべてがわかっているわけではありません。しかし、「変化に対応する力」をつける、という観点から、経営者とコンサルタント両方の立場で行動実験を積み重ねてきました。

越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)
越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)

マイクロソフトを卒業してからは、週休3日や複業という働き方、知識や経験の積み重ね方など、さまざまな行動実験を5年以上行いました。

社会環境が大きく変わる中で、今後最もリスクの高い行動は「何もしない」ことです。また、いきなり大きな成果を目指すこともお勧めしません。

大きな変化を起こすために、むしろ日々の小さな行動実験を積み重ねること、自分に実践可能な「行動の選択肢」を増やしていくことが必要です。

20代ではさまざまな技能(スキル)を吸収することに注力し、苦しい経験を積み重ねることをおそれてはなりません。そして、30代で飛躍するのです。

歳を取ることをおそれる必要はない

昨今は、50代以上の世代を「働かないおじさん」などと揶揄やゆする言説も一部で見受けられます。

しかし、歳を取ることを必要以上におそれる必要もありません。いまこの瞬間の20代、30代のアクションが、また、それがもたらす自己変革が、40代、50代以降の未来を作ります。